パリ · 絵画
ドラン《黒い背景のバラ》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
背景が真っ黒な静物画を見たことがあるでしょうか。あまり見かけない構成です。ドランが背景を黒く塗った理由は、花の色彩と光をより際立たせるためでした。もし背景が派手な色だったら、視線が分散して花に集中しづらかったはずです。
その代わり、背景とともに花瓶などほかの要素は見えにくくなりました。花の下に置かれた花瓶は闇に沈んで形がはっきりしませんが、ドランはその上にいくつか白い点を描き、まるで光が反射しているかのような効果を与えています。おかげで暗闇の中でも花瓶の存在がくっきりと感じられます。
ドランはこんな言葉を残しています。「私が描くものや存在は、その上に白い点を打ったときにだけ生き生きとする」。この絵の中の白い点は、単に光を表現するだけでなく、物に生命力と存在感を吹き込む、ドランならではの特別な仕掛けだったのです。
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