パリ · 建築
よみがえった尖塔
ノートルダム大聖堂 · パリ, フランス
ノートルダム大聖堂のシンボルである尖塔は、天を突くようにそびえ立ち、それ自体が一篇の壮大なドラマを秘めています。中世のものだと思われがちですが、実はこれこそ、ノートルダムに関する最大の誤解のひとつ。中世の尖塔は、長い歳月の風雨に耐えきれず、危険だという理由から18世紀にすでに撤去されていました。私たちが目にする現在の尖塔は、19世紀の偉大な修復家ヴィオレ・ル・デュクが、「ゴシック建築とは本来こうあるべきだ」という理想を込め、より高く、より華やかに設計し直した傑作です。高さ96メートルの新しい尖塔のまわりには、十二使徒の像が東西南北の四方に配され、尖塔を目指して屋根をよじ登っていくような姿で立っています。その足元の低い位置では、ルカを象徴する雄牛、マルコを象徴する獅子、ヨハネを象徴する鷲、マタイを象徴する天使の像が、使徒たちのほうを向いています。
おもしろいことに、十二使徒の像はいずれもパリの街を見下ろしていますが、ただ一人だけ体を翻し、尖塔を見上げています。建築の守護聖人である聖トマスの姿ですが、実はヴィオレ・ル・デュクが自分の顔を刻み、自らが築き上げた偉大な作品を驚嘆のまなざしで仰ぎ見る姿として残したものなのです。さらに驚くべきことに、これらの像は2019年の火災のわずか4日前、修復作業のために地上へ降ろされていました。まさに奇跡的に難を逃れたのです。しかし、尖塔そのものはその運命を免れませんでした。2019年4月、500トンのオーク材と250トンの鉛でできた壮麗な尖塔が炎に包まれ、力なく崩れ落ちた瞬間、世界中の人々が深い喪失感に包まれました。
けれども、絶望は大いなる復活の序章でした。一時は現代的なデザインでの再建も議論されましたが、フランスの人々はパリの象徴的なスカイラインを守るため、ヴィオレ・ル・デュクの設計をそのまま復元することを決断します。フランス全土から樹齢数百年のオークが集められ、最高の職人たちが中世の斧を使って手作業で木を削り出す伝統工法で骨組みを組み上げ、鉛で覆って、当時「森」と呼ばれていたこの傑作を見事によみがえらせました。
新しい尖塔の頂には、金色に輝く雄鶏が見えます。この雄鶏は希望の象徴となりました。火災のとき、尖塔のてっぺんにあった元の雄鶏が、灰の中から、ひしゃげた姿で奇跡的に見つかったからです。その中には、パリを守る3つの宝、すなわちイエスの荊冠、聖ドニ司教、そしてパリの守護聖女ジュヌヴィエーヴの聖遺物が納められていました。修復チームは聖遺物をそのまま取り出し、炎が燃え上がるような姿に新しく作り直した黄金の雄鶏の中へ、再び安置しました。そこには、今回の修復に携わった大勢の人々の名前も一緒に刻まれています。こうしてノートルダムの尖塔は、悲劇を乗り越えた希望のシンボルであり、過去と現在の職人の技をつなぐ架け橋であり、終わらない物語を空に刻む偉大な証となったのです。







