パリ · 建築
ナルテクスとブロンズの洗礼盤
ノートルダム大聖堂 · パリ, フランス
入口を入ってすぐのこの空間は「ナルテクス」と呼ばれています。聖なる場所へ足を踏み入れる前に、心を整えるための玄関のようなスペースです。
ここでまず目を引くのは、火災からの修復を経て新たに作られたブロンズの「洗礼盤」でしょう。再開館に合わせて、フランスのデザイナー、ギヨーム・バルデ(Guillaume Bardet)が手がけた作品です。素材は黒みがかったブロンズで、ざらついた冷たさはなく、重厚でありながらどこか温もりを感じさせます。バルデは、850年という歳月を重ねてきたこの大聖堂のなかで、現代の作品が悪目立ちすることなく、まるで昔からずっとそこにあったかのように佇むことを願ったそうです。無駄をそぎ落とし、なめらかに流れ落ちる曲線は、まさに「静かな水」そのものを形にしたかのよう。信者にとってこの場所は、罪を洗い清め、新たに生まれ変わる「はじまり」を意味しています。
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