パリ · 建築
身廊から眺める大聖堂の構成
ノートルダム大聖堂 · パリ, フランス
いま立っているのは、大聖堂の中央の通路です。建築用語では、この細長い空間を「身廊(ネイヴ)」と呼びます。顔を上げて天井を見てください。アーチ型の天井は、巨大な船をひっくり返したような形をしていませんか。実際、「ネイヴ」は「船」を意味するラテン語の「ナヴィス(Navis)」に由来する言葉です。つまり私たちは、教会という大きな船に乗って、信仰の海を渡る巡礼者というわけです。運がよければ、ここでミサに参列する特別な体験ができるかもしれません。
中央の通路はミサのために仕切られているため、ほかの観光客と一緒に左側の通路から聖堂の中心部へと進みます。ただし、移動する前に、聖堂の正面、いちばん奥へ目を向けてみてください。中央祭壇の後ろには、聖母マリアが亡きイエスを抱く「ピエタ像」があり、その両脇には、ひざまずいて祈るルイ13世とルイ14世の像が見えます。見学の順路ではバラ窓のあとに出会う彫刻ですが、側廊に入ると「内陣障壁」と呼ばれる高い仕切りが視界をさえぎり、正面の壮大な祭壇を全体として見渡せなくなります。ですから、ぜひ今この場所でじっくり目に焼きつけておきましょう。もちろん、仕切りの隙間から眺めることもできます。
進む方向についてもお話ししておきましょう。入ってきた入口を背にして、左が北、右が南です。ここにはノートルダムの深い設計意図が隠されています。この大聖堂は、日が差しにくい北側が「旧約の時代」と「闇」を、日の光が降りそそぐ南側が「新約の時代」と「光」を象徴するように造られています。そこで私たちは、闇と影を象徴する北側、つまり入口から見て左から出発し、モーセ、ノア、ダビデなど旧約の人物たちに出会いながらバラ窓を過ぎて、聖堂の円い中心部にたどり着きます。中心部でイエスと荊冠に出会ったあとは、受難の象徴に背を向け、光と栄光を象徴する南側、すなわち入口から見て右側を回って出発点へ戻ります。逆さにしたアルファベットの「U」の字を描いて歩く道のりです。この意図を知ってから眺めると、聖堂がまた違って見えてきませんか。

