パリ · 建築
天を目指す情熱が生んだゴシック建築の秘密
ノートルダム大聖堂 · パリ, フランス
ノートルダムの外観を眺めながら、こんなことを思ったことはありませんか。12世紀に、どうしてこれほど壮大で高い建物が建てられたのだろう、と。その秘密を解く鍵が、ゴシック様式にあります。ノートルダムが建てられる以前のヨーロッパの聖堂は、石造りの丸い屋根を支えなければならなかったため、壁は厚く重々しく、窓を開けるのも大変でした。扉や窓、回廊には古代ローマと同じく半円形のアーチが使われ、「ローマ風」という意味でロマネスク様式と呼ばれます。ローマ人が建てたという意味ではなく、中世ヨーロッパでローマ風の建築を手本に造られたという意味です。こうした聖堂は重く、薄暗い印象でした。けれど12世紀の人々は、もっと高く、もっと明るい、神の光に満ちた空間を夢見ました。その情熱が、建築技術の革新を導いたのです。
覚えておきたい革新は3つあります。1つ目は、天井の丸いアーチを、天へ向かって尖った尖頭アーチに変えたこと。重さを柱へより効率よく伝えられるようになり、壁を軽くすることができました。2つ目は、天井そのものを、動物の肋骨のような骨組み構造であるリブ・ヴォールトにしたこと。天井の重さを、壁ではなく4本の柱に集中させたのです。そして最後の、もっとも劇的な革新が、建物の外へ伸びる翼、フライング・バットレス(飛梁)です。この翼が外から壁をしっかりと支えたおかげで、壁は重さの負担から完全に解放されました。解放された壁に何をはめ込んだのでしょうか。光を取り込む巨大なステンドグラスの窓です。闇から光へ、地から天へ。中世の人々の偉大な挑戦でした。




