フランスの食文化 · 3/22

パリ · グルメ

フランス式コースの基本

パリ · パリ, フランス

このスポットの音声解説はアプリで MuseCatアプリ アプリで聴く

フランスでは食事に最低でも2時間以上かかる、とよく言われます。フランス人ならではのゆったりした気質も理由のひとつでしょうが、正確に言えば、食事のスタイルそのものが違うからです。料理を一度にずらりと並べてあれこれ味わうスタイルとは異なり、フランスの食事をひとことで表すなら「コース料理」。コースごとに食べるものが決まっていて、コースが終わるたびにお皿とカトラリーを下げ、次の料理を待っていると、1時間ではとても足りないほどです。そのため、フランス料理は洗い物が多いともいわれます。コースの流れと、それぞれで食べる料理を、簡単な例とともに見ていきましょう。

最初のコースはapéritif、つまり食前酒です。広い意味では、食欲を刺激する小さなスナックやフィンガーフードも含まれます。お店に着いて席に座ると、まずスタッフが飲み物を何にするか尋ねてくれますが、頼みたくなければこの段階は飛ばしてもかまいません。この段階でフランス人にもっとも愛されているのは、オリーブの塩漬けと、charcuterie(シャルキュトリー)と呼ばれる食肉加工品で、種類もとても豊富です。

2番目のコースは前菜のentréeで、いよいよ本格的な食事の始まりです。野菜の割合が比較的高く、量は少なめなので、メニューから単品で選ぶと物足りないかもしれません。各種サラダはもちろん、おなじみのオニオンスープやエスカルゴ、オムレツに似たパイのキッシュ(quiche)もここに入ります。特別な日や大きな行事のときには、フォアグラや生ガキも食べます。

3番目のコースはメインのplatで、主役は肉と魚です。フランスは肉の消費量が多く、食べる種類も豊富です。子牛肉、羊肉、うさぎ肉のほか、家禽も鶏だけでなく、鴨、うずら、ほろほろ鳥、七面鳥があります。内臓の部位もレストランのメニューによく登場します。魚は白身魚が好まれます。肉や魚には付け合わせがつき、いちばん一般的なのはじゃがいもや野菜で、パスタや穀物、お米のこともあります。前にお話ししたとおり、パンはいつもテーブルの片隅にありますので、おいしいパンをたっぷり楽しんでください。

次はチーズのコースです。フランスはチーズの天国。酪農が盛んなだけに乳製品の消費量は膨大で、チーズの種類だけでも、分類の仕方によって360種ほどから、多くて1200種にのぼるといわれています。チーズは牛乳、羊乳、山羊乳から作られ、単独ではなくパンと一緒に食べます。フランスでもっとも消費量が多いチーズは、comté(コンテ)です。comtéは熟成期間を月数で表し、通常は最短4か月から最長24か月まで熟成させます。長く熟成させるほど、より固く塩気が強くなり、独特のぴりっとした風味と香りが感じられます。初めてなら、12か月か18か月熟成のcomtéがおすすめです。

5番目のコースは、ついにデザートです。種類は実に多く、チョコレートやクリーム、フルーツをベースにしたあらゆるケーキやタルトがデザートに分類され、アイスクリームやソルベも含まれます。フランス料理でデザートはコースの大切な一品であり、お菓子やおやつという感覚とは違います。ここで、大事なルールをひとつ。フランス人は塩味と甘味を同時に食べません。甘いものはデザートの段階でだけ食べるので、いわゆる「甘じょっぱい」組み合わせを不思議に感じる人がたくさんいます。前菜とメインはしょっぱいもの、つまりsalé(サレ)、デザートは甘いもの、つまりsucré(シュクレ)。この2つの言葉はぜひ覚えておいてください。

デザートは単独でも食べますが、コーヒーや紅茶と一緒に楽しむこともあります。そのため、ほとんどのフランスの飲食店のデザートメニューにCafé Gourmand(カフェ・グルマン)があります。数種類の小さなデザートとコーヒーがセットになったメニューで、コスパもよく、たいていとてもおいしいので、ぜひ試してみてください。

最後の6番目のコースは、食後に飲むdigestif、食後酒です。必須ではありませんが、ほんの少しの甘いお酒で食事のフィナーレを飾る段階です。フランス人はこの食後酒をpousse café(プース・カフェ)とも呼びます。pousseは英語のpush、つまり「押す」という意味で、それまでに食べたものがよく消化されるよう、コーヒーをお腹に押し込む、という意味だそうです。

こうしてみると、正式なコースを味わい尽くすのに2時間かかるといわれる理由がわかります。ただ、忙しい現代では、コースはずいぶん簡略化されています。短いランチタイムには、前菜とメイン、またはメインとデザートだけで、コーヒーで締めくくります。正式なコースをフルで楽しむのは、週末の家族の食事や、結婚式のような大きな行事、クリスマスなどです。家族を大切にするフランスでは、週末の家族の食事はとても重要なものです。正式なコースと簡略化されたコース、どちらも分かったところで、注文のときにはためらわず、このガイドラインを活用してみてください。

音声ガイド

作品の前で、 再生するだけ。

アプリで聴く

無料ダウンロード · iPhone

iPhoneでスキャン

← マガジン一覧へ戻る

写真 © TourLive(MuseCat の運営会社)