サント・シャペルをじっくり · 7/11

パリ · 建築

存在理由、聖遺物と光の宝石箱

サント・シャペル · パリ, フランス

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正面の祭壇は、サント・シャペルの心臓であり、存在理由でもあります。ここには、イエスが十字架にかけられたときに頭に被っていた茨の冠がありました。金で装飾されたガラスの容器に収められた茨の冠だけでなく、イエスが釘打たれた十字架の断片、脇腹を刺したと伝えられる槍の一部、イエスが着ていた紫の外套、葦の杖、聖なる血など、イエスの受難にまつわる聖遺物が安置されていたのです。これらの遺物を納めるために建てられたのが、サント・シャペルです。ルイ9世は、自らが購入した茨の冠という最高の宝石を収めるため、世界でもっとも大きく美しい宝石箱を、建築というかたちで実現したといえるでしょう。サント・シャペルが「光の宝石箱」と呼ばれるゆえんです。

当時、聖遺物は国家の権威を象徴する重要な財産でした。伝えられるところでは、ルイ9世がサント・シャペルの建設に費やした費用は約4万リーブルでしたが、聖遺物の代金は13万5千リーブルと、建築費の3倍あまりに上りました。王は、これらの遺物を完璧にお祀りするため、祭壇の奥の高い位置に「グランド・シャース」と呼ばれる巨大な聖遺物台を造らせました。長さ2.7メートル、銀と金メッキした銅で覆われたこの黄金の箱に、ステンドグラスを通り抜けた色とりどりの光が反射すると、聖遺物は神秘的な炎のように揺らめいたといいます。このグランド・シャースの制作にも、10万リーブルがかかったと伝えられています。それほどまでに、サント・シャペルはまさに国の命運がかかった一大プロジェクトだったのです。

しかし、現在の祭壇は空っぽです。永遠に続くかに思えたこの聖なる場所も、18世紀のフランス革命の荒波からは逃れられませんでした。宗教と王権の象徴だったサント・シャペルは革命派の主要な標的となって傷つけられ、聖遺物は散り散りになり、グランド・シャースは丸ごと溶かされて失われました。幸い、中心的な聖遺物である茨の冠は無事で、取り戻すことができ、現在はノートルダム大聖堂の宝物室で保存されています。もうここで聖遺物を見ることはできませんが、祭壇の下で茨の冠を掲げる天使の彫刻から、かつてここに聖遺物があったことがうかがえます。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より(CC0)。

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