パリ · グルメ
サン=ジェルマン=デ=プレ、パリの美食と知性の中心地
サン・ジェルマン・デ・プレ · パリ, フランス
サン=ジェルマン=デ=プレ駅は出口が2つあり、互いに近いので、間違えて出てもすぐに道を見つけ直せます。1番出口は、サン=ジェルマン=デ=プレ教会(Église Saint-Germain-des-Prés)側です。1番出口を出ると、クレープを売る屋台が見えます。週末には行列ができるほどの人気店です。小腹がすいていたら、クレープをひと口かじりながらツアーを始めるのもよいでしょう。クレープの屋台を正面にして右隣には教会があり、教会の階段にしばらく腰かけて景色を眺めながら解説を聞くこともできます。この教会は6世紀に創建された修道院に始まる1500年の歴史を持ち、現在の建物は11世紀ごろにロマネスク様式で建てられた、パリ最古級の教会です。
サン=ジェルマン=デ=プレの歴史は6世紀、都市の城壁の外に広がる野原(Prés)に小さな修道院が建てられたことに始まります。修道院ができてから、この地は宗教と文化の中心として栄え、パリでもっとも魅力的な場所のひとつへと発展しました。とくに17世紀に都市化が進むと、上流階級や聖職者が集まり、数多くの修道院や貴族の邸宅が建ち並び、芸術と文化が息づく社交と信仰の中心地になりました。
18世紀には、啓蒙思想の哲学者や芸術家が集まり、文化と知性の中心地としても成長します。ヴォルテールやルソーといった思想家がカフェでコーヒーを飲みながら議論を交わし、これがこの地ならではのカフェ文化を生み出しました。20世紀には、ジャン=ポール・サルトルやシモーヌ・ド・ボーヴォワールら知識人とともに実存主義が花開きます。カフェ・ド・フロールやレ・ドゥ・マゴといった歴史あるカフェが彼らの溜まり場になったことで、サン=ジェルマン=デ=プレは自然と美食の中心地としても定着していきました。有名シェフや美食家が集まると、高級レストランやブラッスリー、パン屋、チョコレートショップが次々と開き、名声はさらに高まりました。
こうした歴史的・文化的背景から、この地区はパリ屈指の高級エリアとなりました。著名な芸術家や知識人、裕福なパリジャンが集まって暮らしたことで、ブティックや高級店が密集し、パリでもっとも物価の高い地域のひとつになっています。それでもサン=ジェルマン=デ=プレは、今も本物のパリジャンの暮らしを感じられる場所です。有名なカフェやレストランだけでなく、路地ごとにある小さな市場や、地元の人々に愛される小さなワインバー、ローカルなビストロが、パリらしい空気をそのまま守っているからです。ここでの美食ツアーは、おいしいものを味わうだけにとどまらず、パリの歴史と文化を直接味わい、感じる特別な体験になるでしょう。
では、駅を出てクレープの屋台を正面に見る方向へ進み、すぐ先の横断歩道を渡ると、伝説的な2軒のカフェが待っています。まずは「レ・ドゥ・マゴ」へ向かいましょう。


