パリ · 彫刻
本人を描かなかった記念碑、『ジェームズ・ホイッスラー記念碑』
ロダン美術館 · パリ, フランス
この彫刻は画家ジェームズ・ホイッスラーを称える記念碑だ。1905年、ロダンはアメリカの著名な画家ジェームズ・ホイッスラーを記念する制作を依頼される。どのように取り組むべきか悩んだロダンは、当時としては非常に異例な選択をする。ホイッスラーを直接描写するのではなく、彼を象徴するミューズを彫刻することにしたのだ。この決断の背景には、ホイッスラーが生前「自分の死後、自分を称える記念物は望まない」と語っていたという事実もある。さらに当時ロダンが世界彫刻家協会会長という立場にあったため、誰も彼の作品の方向性に異を唱えにくかったことも、こうした型破りな試みを可能にした。
彫刻のモデルは、のちにロダンの恋人となる女性芸術家グウェン・ジョンだ。制作の晩年に近づくほどロダンは古代ギリシャ・ローマの彫刻からより深い影響を受けていたが、この作品もルーヴルの『ミロのヴィーナス』からインスピレーションを得て、両腕を彫らなかった。
完成した彫刻を見た人々は惜しみない賛辞を送った。記念碑の対象となる人物を直接描写せず、象徴的な人物や形象を用いたほぼ初めての事例であるという点で、この彫刻はかなりの象徴性を持つ作品と評価されている。
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