ロダン美術館 · 54/65

パリ · 彫刻

飢えの果てに人間性を失う、『ウゴリーノ』

ロダン美術館 · パリ, フランス

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この彫刻は『ウゴリーノ』だ。ロダンの『地獄の門』の一部分を独立した大型バージョンとして別に作った作品である。

この物語はダンテの『神曲』に登場する。彫刻の主人公ウゴリーノは、13世紀イタリアのピサに実在した領主だった。当時のイタリアは教皇派と皇帝派に分かれて対立しており、皇帝派を支援していたウゴリーノは教皇派の大司教に捕らえられ、二人の息子、二人の孫とともに塔に幽閉される身となる。教皇側は彼らを餓死させるため扉に釘を打って閉ざし、食べ物すら与えなかった。数日間飢えに苦しんだウゴリーノは、ついに自分の腕を噛んでしまう。その姿を見た息子たちは、いっそ自分たちを食べてくれと懇願する。しかし父親が我が子を食べるなど、できるはずがなかった。だが飢えが長引くにつれ、息子たちは結局全員飢え死にし、最後まで生き残ったウゴリーノはついに飢えに耐えきれず、死んだ我が子たちの遺骸を食べてしまう。そしてそれすらも尽きた頃、彼自身も飢え死にするのである。ロダンはこの悲劇的な物語をもとにこの彫刻を作った。

彫刻を見ると、極度の飢えで骨と皮だけになったウゴリーノが、死んだ我が子を食べようとしている姿が描かれている。ロダンは極限の飢餓の前で人間性を完全に失った一匹の獣として、ウゴリーノを表現した。そのため、まるで動物のように四つん這いで這う姿勢で彫刻し、池の真ん中に置かれているため詳しくは見えないが、口を半ば開けて正気を失ったような顔をしている。

この作品には興味深い、ある意味やや危険だったとも言えるエピソードがある。生々しい彫刻を作るためにいつも実際のモデルを活用していたロダンは、今回も狂気じみた人物を自ら探し出し、その人物を観察しながら彫刻した。ところがロダン自身がその人物について「人間ではなく、一匹の狼のようだった」と語っていたほどだ。生々しさを追求した彼の情熱が、時に自らを危険にさらすほど強烈だったことをうかがわせるエピソードである。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Shadowgate(CC BY 2.0)。

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