パリ · 彫刻
象徴をすべて取り払った、ロダンの『洗礼者ヨハネ』
ロダン美術館 · パリ, フランス
ヨーロッパを旅していると「洗礼者ヨハネ」を題材にした作品によく出会う。通常、洗礼者ヨハネは彼を象徴する十字架の杖やラクダの毛皮の衣をまとった姿で表現される。ところがロダンはこの彫刻で、そうした象徴的なアイテムをすべて取り払い、完全なヌードの姿でヨハネを彫った。
この彫刻のモデルは、イタリアで農業を営んでいた「ピニャテッリ」という人物だ。『青銅時代』と同様、今回もロダンはプロではないモデルを起用したが、そのほうが体をより自由に表現できたからだ。ピニャテッリがいくつかポーズを取るうち、今見るようなポーズになった瞬間、ロダンは「これは歩いている人の姿だ!」と叫び、この瞬間を彫刻として残すことを決意した。作品のタイトルを『洗礼者ヨハネ』とした理由も興味深い。ロダンはピニャテッリを初めて見た瞬間、洗礼者ヨハネを思い浮かべたという。生涯農業に従事してきたことによる日焼けした肌、手入れされていないひげ、痩せているのに引き締まった筋肉が、砂漠で説教する洗礼者ヨハネの姿に似ていると感じたのだ。
この彫刻を作る際、ロダンはあえて実物大より大きなサイズで制作した。先に『青銅時代』が実物大に近かったために鋳造疑惑に巻き込まれたことを踏まえ、今回は同じ誤解を避けるためにわざと人よりも大きなスケールを選んだのである。今回も人体の自然な姿をとらえたこの作品に人々は熱狂し、その人気を受けてフランス政府は再びロダンの作品を購入することになる。
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