パリ · 彫刻
人の体を直接型取りしたという疑惑、『青銅時代』
ロダン美術館 · パリ, フランス
『青銅時代』は、ロダンがイタリア旅行から戻った直後に制作した作品だ。旅先でミケランジェロやドナテッロといったルネサンスの巨匠たちの彫刻を直接目にした経験が大きなインスピレーションとなり、その影響がそのままこの作品に表れている。
この彫刻のポーズは驚くほど自然だ。モデルはオーギュスト・ネイという若い軍人で、プロのモデルではなく一般人だった。ロダンはプロのモデルにありがちな型にはまったポーズではなく、一般人だからこそ見せられる飾らない自然な姿をそのまま彫刻したいと考え、あえて素人をモデルに選んだ。当時としては類を見ないほど革新的なポーズで、彫刻特有の硬さではなく、生きて呼吸しているかのような生命感があると評され、大きな称賛を受けた。
ところがポーズがあまりに自然だったため、ロダンが実際の人体に直接型取りして作ったのではないかという疑惑が持ち上がる。事実無根の噂だったが、瞬く間に広まり、ロダンはこの件でかなりのストレスを抱えることになった。フランス政府にこの作品を購入してほしかったロダンにとっては一層やっかいな状況で、噂のせいで政府が購入をためらったのだ。しかし最終的には、ロダンの卓越した腕前に魅了された政府がこの彫刻を注文することで論争は収まった。現在この作品はオルセー美術館の所蔵品で、ロダン美術館に長期貸与される形でここに展示されている。
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