パリ · 街歩き
すべての人に開かれたパリのオペラ劇場
パリ · パリ, フランス
フランスは、オペラを語るうえで欠かせない国です。17世紀、ルイ14世の時代に、フランス宮廷はイタリア・オペラを土台に「フランス・オペラ」を発展させ、独自のスタイルを築き上げました。この伝統は今日まで受け継がれ、フランスを代表する芸術ジャンルとして根づいています。ここでは、パリで訪れたいオペラ劇場をご紹介します。
最も知られているのは、オペラ・ガルニエとオペラ・バスティーユ。パリ・オペラを構成する2つのオペラハウスです。オペラ・ガルニエ(Palais Garnier)は、350年あまりの歴史を誇る世界的な劇場で、パレ・ガルニエやガルニエ劇場などの名でも知られています。大理石の大階段、シャガールの天井画、シャンデリアなど、豪華で壮麗な装飾はいずれも傑作とされ、オペラやバレエ、コンテンポラリーダンスなどが上演されます。観光客にも人気の高い劇場で、あまりの美しさにドレスやフォーマルウェアで撮影する人も少なくありません。ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』にインスピレーションを与えた劇場としても有名です。1896年にこの劇場でシャンデリアが落下し、死亡事故が起きたとされ、この出来事が、小説で怪人がシャンデリアを落とす場面の着想に影響を与えたといわれています。
オペラ・バスティーユ(Opéra Bastille)は、洗練された現代的な建築美を誇る劇場で、比較的新しい1989年に開場しました。2,700人以上の観客を収容できる、パリ最大のオペラハウスです。その名のとおり、バスティーユ牢獄があったバスティーユ広場に建てられており、向かい側には、1830年の七月革命の犠牲者を追悼して名前を刻んだ高さ54メートルの青銅の塔、七月革命記念柱がそびえています。
オペラ=コミック座(Opéra-Comique)は、前のトラックでご紹介した6つの国立劇場のひとつです。ルイ14世の時代の1714年に、同名のオペラのジャンル「オペラ=コミック」を上演するために設立されました。コメディ=フランセーズ、パレ・ガルニエとともにフランスで最も古い劇場のひとつとされ、ビゼーの『カルメン』やマスネの『マノン』が誕生した場所でもあります。
最後はヴェルサイユ宮殿の王立歌劇場(Opéra Royal de Versailles)です。ルイ14世の夢に端を発し、ルイ15世のもとで建設され、1770年、ルイ16世とマリー・アントワネットの結婚を祝う祝典とともに開場しました。フランス王室の権威を物語るように、金色と青を基調に華やかに装飾されており、開場当時はヨーロッパ最大の劇場でした。歴史的にも、数多くの祝祭や公演、議会の討論が行われた場所です。ヴェルサイユ宮殿の敷地内にあるので、宮殿見学とあわせて訪れれば、その歴史の奥深さをいっそう感じられるでしょう。
フランスは、オペラの大衆化にも力を入れ続けています。そのひとつが、毎年5月ごろに開かれる「トゥ・ア・ロペラ(Tous à l'Opéra)」です。2007年に始まった年に一度の催しで、フランス全土のオペラ劇場が参加し、「オペラは貴族だけの文化ではない」というメッセージのもと、人々とオペラの距離を縮めることを目的としています。多くは無料で、2024年は5月3日から5日まで、オペラ・ガルニエやヴェルサイユ王立歌劇場などで、劇場の無料開放、バックステージツアー、歌のレッスン、オペラ専門家との交流会など、さまざまなプログラムが行われました。


