パリ · 街歩き
フランスの6つの国立劇場
パリ · パリ, フランス
フランスには国立劇場が全部で6つあり、そのうち5つがパリにあります。それぞれの劇場に専門分野とテーマがはっきりしているのが特徴です。たとえば、ダンスを専門とするシャイヨ劇場や、伝統的なオペラを専門とするオペラ=コミック座などがあります。
世界初の国立劇場といわれるコメディ=フランセーズ(Comédie-Française)は、1680年にルイ14世の命によって創設されました。ルーヴル美術館のすぐ向かい、パレ・ロワイヤルの隣に位置し、「モリエールの家」とも呼ばれています。フランス演劇界の巨匠モリエールの劇団を含む2つの劇団が合併して誕生し、以来、モリエールやラシーヌといった作家の古典から現代劇まで幅広い作品で世界的に高く評価されています。筆者はここでモリエールの『守銭奴』を観たそうで、パリの数ある劇場のなかでも、「フランス国立劇場」ならではの誇りと威厳を感じたといいます。館内は洗練されていて華やか、ミュージアムショップにはかわいらしい小物がたくさんあり、ウォーターサーバーにまでモリエールの戯曲の台詞が書かれていたそうです。筆者が観た公演では、英語またはフランス語の字幕がリアルタイムで表示されるメガネを無料で借りることができました。字幕の位置・明るさ・大きさを簡単に調整でき、舞台とぴったり合っていて、ネットフリックスを字幕付きで観ているような感覚だったといいます。
オデオン座(Odéon – Théâtre de l'Europe)はヨーロッパ演劇の中心地で、コメディ=フランセーズに次いで古い国立劇場です。コメディ=フランセーズと同じく、現代劇から古典まで多彩な作品が上演されます。劇場は2か所あり、1つはパリ6区の中心部にある趣ある建物、もう1つは郊外の17区にあり、ぐっとモダンな雰囲気のなかで革新的な作品を上演しています。
シャイヨ劇場(Chaillot – Théâtre national de la Danse)は、フランスの国立劇場で唯一、ダンスに全面的に軸足を置く劇場で、革新的なコンテンポラリーダンスをたびたび上演しています。トロカデロ広場にあり、観劇の前後にお散歩を楽しめるほか、セーヌ川越しにエッフェル塔を眺める絶好のスポットでもあります。
オペラがお好きなら、オペラ=コミック座(Opéra-Comique)がおすすめです。フランスオペラの伝統と現代をつなぐ劇場で、伝統的でありながら親しみやすい公演を上演しています。館内は華やかなバロック様式で装飾されており、公演がない日でも、建物のツアーだけで訪れる価値があります。
実験的な作品や現代戯曲に興味があるなら、ラ・コリーヌ(La Colline)はいかがでしょう。同時代の作家との創作に力を入れている劇場です。筆者はここの小劇場で、難民をテーマにした二人芝居を観ました。重くなりがちなテーマにもかかわらず、客席の中心は意外にも子どもや10代の若者だったそうです。途中で観客にアイマスクを着けさせ、難民たちの証言の声だけに耳を傾けさせる演出が印象的だったといいます。
最後にご紹介するのは、ストラスブール国立劇場(Théâtre national de Strasbourg)です。パリ以外にある唯一の国立劇場で、地域演劇と教育活動に力を注いでいます。若い観客向けのワークショップや参加型プログラムを通じて、地域社会とのつながりを大切にしています。
