パリ · 絵画
写真よりも似た肖像、ゴッホ『自画像』
オルセー美術館 · パリ, フランス
ゴッホは自画像を特に多く描いた画家だった。彼が残した自画像は43点を超え、今見ているこの絵もその一つだ。
この絵の主な色は淡いターコイズブルーである。背景もターコイズブルーで、ゴッホが着ている服もそこからわずかに濃い緑がかった色合いだ。同系統の色で塗られているため背景と体が見分けにくくなりかねなかったが、ゴッホは服の輪郭に濃い緑色の線を引いて両者を区別している。よく見ると顔の肌にもターコイズブルーが混ざっており、瞳も同様だ。こうしてターコイズブルーと緑色が下地に敷かれているため、ひげと髪に塗られたオレンジ色がかえってより鮮やかに輝いて見える。
ゴッホは弟に宛てた手紙に「私は写真よりも深い類似性を探している」と書いたことがある。彼にとって自画像とは単に外見を再現する作業ではなかった。外見を正確に捉えることにかけては写真にかなうものはないのだから、ゴッホが追い求めていたのは写真では捉えられない内面の表現だった。現実をありのままに描くより、自分の感情を表すことを望んでいたのだ。そう考えると、自分の肌さえも緑色に描いた選択にも、ある程度納得がいく。
今聞いてもすぐには理解しがたい部分があるかもしれないが、もしかするとその点こそが、ゴッホが生前人々から理解されなかった理由だったのかもしれない。時代をあまりにも先取りしすぎていたのだろう。この自画像から各人が感じる感情に正解はない。自分が感じるその感情こそが、まさに正解なのだ。
iPhoneでスキャン