パリ · 絵画
家賃代わりに預けた絵、カビが残したモネ『草上の昼食』
オルセー美術館 · パリ, フランス
モネの『草上の昼食』はもともと一枚のキャンバスだったが、現在は二つに分かれて展示されている。この絵を描いていた当時、極度の生活苦にあえいでいたモネは、家賃の代わりにこの絵を家主に預けた。後に生活が落ち着き絵を取り戻しに行ったとき、絵はきちんと保管されていなかったためカビが生えていた。モネが後に成功することを知っていれば家主ももっと丁寧に扱っていただろうが、当時はそうする理由がなかったわけだ。結局モネはカビの生えた部分を切り取り、無事な部分だけを残さざるを得なくなり、その結果として今のように絵が二つに分かれることになった。
作品のサイズがあまりに大きく、絵の具代の負担もかなりのもので、結局この絵は完成されなかった。モネはそもそもサロン展への出品を目指してこの絵を描き始めたが、結局出品すらできなかった。
当時の印象派の画家たちはほとんどが貧しく、高額なモデルを雇う余裕などなかったため、絵に登場する人物たちも大抵は知人で構成されていた。この絵に登場する人物たちも全員モネの知人であり、その中には見覚えのある顔もある。絵の中央で黒いスーツを着て髭をたくわえた男性こそ、写実主義の画家クールベである。モネの苦しい事情をよく知っていたクールベは、快くモデルを引き受けてくれた。
モネはこの絵を描くにあたり、自らが尊敬していた画家マネの『草上の昼食』を参考にした。当時大きな論争を巻き起こした絵をなぞって描いたというのは一見奇妙に思えるかもしれないが、それだけモネはマネを深く敬愛していた。ただしサロン展での入賞を目指していたため、マネが受けた論争は避けようと、マネの絵に登場する裸婦とは異なり、自分の絵ではすべての女性に服を着せて描いた。
この作品はモネの初期の絵ではあるが、すでに彼ならではの画風が少しずつ現れ始めている。敷物の床を見ると、木々の間から差し込む光が繊細に表現されている。光についての研究がまだ熟していない時期ではあったが、その可能性は確かにうかがい知ることができる。