オルセー美術館 · 8/82

パリ · 絵画

百人を超える画家が暮らした「画家たちの村」、バルビゾン派

オルセー美術館 · パリ, フランス

オルセー美術館
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バルビゾンはパリから約50km離れた小さな村の名前だ。1830年代後半から1870年代にかけてこの村に暮らしながら絵を描いた画家たちを、バルビゾン派と呼ぶ。ロマン主義や新古典主義のように一つの画風を指すのではなく、画風や関心はそれぞれ異なっても、同じ村で共に絵を描いていた人々をまとめて呼ぶ表現である点が、他の美術様式とは異なる特徴だ。

画家たちがこの村に集まった理由は一つではない。産業革命によって都市が急速に発展する一方、皮肉にも都市生活になじめず自然や農村への郷愁を募らせる人々が増えていったこと、またパリの家賃高騰に耐えきれなくなった貧しい芸術家たちが次第に田舎へ追いやられた事情もある。さらに当時ヨーロッパを席巻したコレラを避け、人口密度の低いバルビゾンへ移り住んだ画家たちもいた。

集まった理由も画風もそれぞれ異なっていたが、彼らには自然を描くという共通の関心があった。バルビゾン村そのものの素朴な風景はもちろん、近隣のフォンテーヌブローの森はパリ市内より広大な面積を誇り、自然を描くには申し分ない場所だった。最盛期には百人を超える画家がこの地に暮らし、「画家たちの村」とも呼ばれた。その中でもミレー、ルソー、コロー、デュプレ、ドービニー、ディアズ、トロワイヨンの七人は「バルビゾンの七つ星」と呼ばれている。

彼らの画風はそれぞれ異なっていた。ルソー、コロー、デュプレといった画家たちは光についての深い研究をもとに、天候によって微妙に変化する自然の風景に注目して絵を描いた。これはのちの印象派の画家たちにも影響を与えることになる。ミレーはバルビゾンで農業を営む農民たちのありふれた日常に焦点を当て、トロワイヨンのような画家は自然を背景に牛や犬、馬といった動物を好んで描いた。

当時のフランス画壇を支配していたのは歴史や神話、偉人の肖像を描いた絵画だったため、彼らの作品はそれに見合う評価を得られなかった。しかし彼らが黙々と自らの道を歩み続けたからこそ、後進の画家たちは風景画により大胆に挑めるようになり、絵画は一歩先へと進むことができたのである。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Sailko(CC BY 3.0)。

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