オルセー美術館 · 9/82

パリ · 絵画

敬虔な祈り、それとも隠された棺、ミレー『晩鐘』

オルセー美術館 · パリ, フランス

オルセー美術館
このスポットの音声解説はアプリで MuseCatアプリ アプリで聴く

畑で働いていた男女が、教会から響く鐘の音を聞いて手を止め、祈りを捧げる姿。ミレーの代表作『晩鐘』は、その敬虔で静かな雰囲気で広く愛されている作品だ。

韓国語の題名「晩鐘」は「夕方の鐘」という意味だが、フランス語の原題は『レンジェラス(L'Angélus)』、すなわち「お告げの祈り」である。カトリックでは朝、正午、夕方の一日三回祈りを捧げるが、これを「お告げの祈り」と呼ぶ。正確な原題を知ると、鐘の音と祈る二人の姿がより鮮明に見えてくる。

この絵は、ミレーが幼い頃畑で働いていたとき、夕方の鐘が鳴ると手を止めて祈っていた祖母を思い出しながら描いた作品である。農村出身のミレーは、パリで短期間暮らした時期を除き、生涯の大半を農村で過ごした。彼にとって農村とは自らの人生そのものであり、だからこそ作品の多くが農村の風景を題材としている。

絵が非常に有名なだけに、興味深い逸話も伝えられている。二人の間に置かれたジャガイモのかごは、実は死んだ赤子の遺体を入れたかごで、ミレーがそれをジャガイモのかごに描き直したというものだ。この説を最初に唱えたのはスペインの画家サルバドール・ダリで、彼はこの絵から敬虔さではなく不安を感じると語り、かごの中には赤子の遺体が入っていると主張した。この発想に着想を得た絵も残している。実際にこの作品をX線撮影したところ、ジャガイモのかごの位置に別の形が塗りつぶされていたことが確認され、この説は一時期説得力を持って語られた。

しかし当時の画家たちは経済的に困窮しており、キャンバスを頻繁に取り換えることができなかったため、下絵の上に塗り直すことは珍しくなかった。絵の具すらまともに買えないほど貧しかったミレーも例外ではなかっただろう。ミレー研究者たちもこの説は事実ではないと見ている。どれほど貧しくとも、葬儀を行う際には最低限の道具が必要になるが、この絵のどこにもそうした痕跡は見当たらないからだ。それでも、こうした逸話が加わることで、この絵はいっそう興味深い作品として語り継がれている。

この絵にはもう一つの逸話もある。もともと買い手がついていたが、突然購入が取り消され、ミレーは生活に困窮することになった。それを気の毒に思った画商が、支援の意味を込めてこの絵を買い取り、販売した。その後この作品は、節制と信仰を重んじる気風が強く残っていた当時のアメリカで大きな人気を博し、競売ではアメリカ美術協会とフランスのルーヴル美術館が競り合った末、アメリカ側が落札した。これを取り戻したかったルーヴルだったが、高額な値段のためすぐには購入できず、フランスの百貨店王アルフレッド・ショーシャールが改めてこの作品を買い取ってルーヴルに寄贈した。その後オルセー美術館が開館すると、この絵もこちらへ移され、今私たちが目にすることができるようになったのである。

音声ガイド

作品の前で、 再生するだけ。

アプリで聴く

無料ダウンロード · iPhone

iPhoneでスキャン

← マガジン一覧へ戻る

写真は ウィキメディア・コモンズ より(Public domain)。

写真 © TourLive(MuseCat の運営会社)