パリ · 絵画
ダンテの地獄を見下ろす考える人、ロダン『地獄の門』
オルセー美術館 · パリ, フランス
この作品は、ロダンがブロンズで地獄の門を制作する前の練習として作った石膏模型である。ロダンは生前ついにブロンズの門を完成させることなく世を去ったため、この石膏模型こそが、ロダン自身が直接手を加えた唯一の『地獄の門』だといえる。現在パリのロダン美術館をはじめ、世界七か所の美術館がブロンズ製の地獄の門を所蔵しているが、この七点はいずれもロダンの死後、この石膏模型を型取りして制作されたものだ。ちなみに韓国の湖巖美術館にもそのうちの一点があるが、現在は収蔵庫に保管されている。
地獄の門は、ロダンの作品の中でも最も密度の高い作品だといえる。ここに彫られた figureたちはすべて、ロダンを代表する作品群で構成されているからだ。門の上部中央を見ると、手で顎を支えながら深い物思いに沈んでいる人物がいるが、これこそロダンの最も有名な作品『考える人』である。この人物は地獄の光景を見下ろしながら、思索に耽っている。
地獄の門は、中世イタリアの詩人ダンテが地獄と煉獄、天国を描いた大叙事詩『神曲』にインスピレーションを得て作られた。だとすれば、地獄を見下ろしながら物思いに沈んでいるこの人物は、他でもないダンテ自身である。ダンテは今、地獄の光景を眺めながら、人間の生と、その意味について思索しているのだ。
作品の最上部には三人の人物が立っているが、これらは『神曲』に登場する人物たちで、欲望と傲慢、強欲を象徴している。左側には墜落する男の彫刻があり、その下には『ウゴリーノ』という作品がある。右端には、ロダンのもう一つの代表作『接吻』も合わせて彫られている。
これほど自身の代表作で満たされた地獄の門を、ロダンはなぜ最後まで完成させなかったのだろうか。ロダンは制作途中、この石膏模型を一度展示したことがあるが、その際の評判は芳しくなかった。これ以上手を加えればかえって作品が悪くなるだろうという反応に大きく落胆したロダンは、それ以降この作品に二度と手を加えなかったと伝えられている。