オルセー美術館 · 35/82

パリ · 絵画

女性だからこそ消された名前、モリゾ『ゆりかご』

オルセー美術館 · パリ, フランス

オルセー美術館
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ゆりかごの中の第一子を静かに見つめる女性は、モリゾの姉エドマである。その目元には、産後の疲労と心配、そして愛情が同時ににじんでいる。今見ればありふれた家族の一場面のようだが、当時としてはかなり型破りな絵だった。

その時代、男性画家は主に神話や歴史、英雄的な出来事を描くのが当然とされていた。一方モリゾは、家の中で毎日向き合う女性の現実、育児と日常の瞬間をキャンバスに収めた。題材選びそのものが一つの挑戦だったわけだ。しかし返ってきた評価は冷淡だった。第1回印象派展に出品されたにもかかわらず、当時の評論では画家が女性であるという事実すらまともに言及されなかった。それほどまでに女性芸術家が認められにくい時代だったのだ。

モリゾが画家として立つことができたのは、裕福な家庭環境と、娘たちに個人指導までつけてくれた母親のおかげだった。しかし美術学校への入学も、男性の裸体モデルを描く授業も許されなかった時代だったため、彼女は自然と自分が最も身近で見守ることができた日常と育児を描いた。当時唯一の女性印象派正式メンバーが女性の人生を正面から扱った絵、『ゆりかご』はこうして生まれた。

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