オランジュリー美術館 · 88/122

パリ · 絵画

セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》

オランジュリー美術館 · パリ, フランス

オランジュリー美術館
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本作は、ポール・セザンヌが妻オルタンス・フィケを描いた肖像画である。オルタンスは19歳でセザンヌと出会い、以後30年にわたって数多くの作品のモデルを務めた。

絵の中の妻は無表情で座っているが、これは不機嫌からではなく、もともとそういう表情だったのだという。何時間も動かずに座り続けても一度も不満を言わなかった彼女のおかげで、セザンヌは絵画そのものに専念することができた。一見無造作に描かれたようでいて、鼻を中心に左右が正確に対称を成す緻密な構成が隠されている。ただし、その対称性が硬く見えすぎないよう、椅子をわずかに斜めに配置する工夫も凝らされている。

服の明るい部分は絵の具を塗ったのではなく、キャンバスの白い下地をそのまま残したもので、当時としては独特な手法だった。筆跡が見えるほど素早く描かれており、一見未完成のようにも映るが、その速さがかえって絵に生き生きとした躍動感を与えている。

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