パリ · 絵画
セザンヌ《果物、皿、ミルク差し》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
セザンヌは静物画をとりわけ好んで描いた。時間をかけて絵を仕上げる彼の制作方法では、人物モデルはどうしても疲れてしまう。また、自然界のあらゆるものは球・円柱・円錐といった基本的な形で成り立っていると信じていたセザンヌにとって、静物こそその形をもっとも深く探究できる題材だった。本作にもそうした実験が随所に見て取れる。
果物が置かれた戸棚は、まるで上から見下ろしたかのように傾いて描かれている。実際にこれほど傾いた戸棚の上に物を置けば、すべて床に落ちてしまうだろうが、セザンヌはそうした写実性にはこだわらなかった。戸棚を平らに描いていたら奥の果物は隠れて見えなかったはずで、この傾きのおかげですべての物がきちんと画面に現れている。グラスの奥に置かれた白いナプキンも、無造作に投げ出されたように見えて、実は背景の壁と手前の物とを分ける境界として緻密に計算された位置に配置されている。
セザンヌの絵はこのように、目で見ただけでは理解しにくく、少しの説明があって初めてその意図が見えてくることが多い。
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