パリ · 絵画
セザンヌ《傷のある花瓶とりんご》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
セザンヌは静物画のさまざまな題材の中でも、りんごをことのほか好んで描いた。傷みやすい他の果物と違い、外に置いていても長持ちするからだ。丸い球の形がもっとも描きやすいと考えていたセザンヌにとって、りんごは内部にさまざまな色が混ざり合い、光の加減によってその色が微妙に変化する点で、花瓶や水差しとはまた違った魅力を持つ題材だった。こうしてりんごとセザンヌは切っても切れない関係となり、この絵にも欠かさずりんごが描かれている。
テーブルもまた、上から見下ろしたような角度で描かれ、その上に置かれた物がすべて一目で見渡せるようになっている。遠近法のような写実的な決まりごとにはあまりこだわらず、セザンヌにとっては目に見えるままの再現よりも、画面全体の統一感のほうが重要だったのである。
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