パリ · 絵画
セザンヌ《息子の肖像》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
本作は、ポール・セザンヌが一人息子ポールを描いた肖像画である。セザンヌは息子を深く愛しており、スケッチブックにも眠る息子の姿をたびたび描き残していたと伝えられる。写真のように上半身だけを大きく切り取った大胆な構図は、当時としては珍しい試みであり、息子を誰よりも近くで見つめたいという画家の思いが感じられる。
顔や服、椅子は輪郭のはっきりした線で形づくられ、1880年代にセザンヌが追求していた新しい表現方法がうかがえる。その描き方はどこかゴーギャンの画風を思わせる。灰色の服と背後の青緑色の背景が強く対比し、人物の存在感を一層際立たせている。初期作品に見られた荒々しい筆致ではなく、ずっと柔らかな筆致が画面全体を覆っており、対象そのものにはあまり関心を持たなかったセザンヌにとって、愛する息子だけは例外だったのだろう。
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