パリ · 絵画
セザンヌ、シャトー・ノワールの庭
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
シャトー・ノワールは、セザンヌが暮らしていたエクス=アン=プロヴァンス近郊にある古い城館で、彼はここに一室を借りて作品を保管し、たびたび訪れては、この場所を題材にした絵も数多く残した。
この作品にもセザンヌらしい実験が見て取れる。風景画でありながら、実際には遠くに広がる眺めはほとんどなく、すぐ目の前の木と岩だけが画面を占めている。セザンヌはあえて遠景を遮ることで、見る者の視線が目の前の対象へと集中するよう仕向けたのである。
岩の描写においても、その外観をそのまま写し取るのではなく、本質をとらえようとした跡がうかがえる。一つの岩をいくつもの面に分けて彩色するこの手法は、のちにピカソをはじめとするキュビスムの画家たちに影響を与えることになる。事物の外見ではなく本質を描こうとしたセザンヌの絵は説明が難しいものだが、その独特な気配を感じ取れたなら、それだけで十分に味わえたと言えるだろう。
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