パリ · 絵画
ドラン《マンドリンを持つ黒人》
オランジュリー美術館 · パリ, フランス
アンドレ・ドランが描いたこの作品には、マンドリンを手にした黒人男性が描かれています。画面全体で目を引くのは、光と影の強いコントラストです。人物のシャツの光が反射する部分には絵具を厚く盛り上げ、まるでカメラのフラッシュが光った瞬間を捉えたかのような効果を生んでいます。写真撮影を好んだドランらしさが垣間見える部分です。
色づかいも印象的です。茶色、黄土色、白の三色のみで画面を完成させており、これは熟練した画家でなければ難しい技です。構図には、マネの《笛を吹く少年》やベラスケスが描いた宮廷の道化師の肖像を思わせる響きがあります。
キュビスムとフォーヴィスムという近代美術の大きな潮流を築く上で重要な役割を果たしたドランですが、年を重ねるにつれて次第に古典的な画風へと回帰していきました。この作品もそうした変化の中で生まれたものです。当時はこうした方向転換に批判の声も少なくありませんでしたが、革新と古典の両方を経たドランは、その二つを融合させた独自の様式を改めて確立し、後に巨匠として再評価されることになります。
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