ノートルダム大聖堂 · 17/21

パリ · 建築

ルイ13世の誓いとピエタ

ノートルダム大聖堂 · パリ, フランス

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ここは大聖堂の心臓部ともいえる、もっとも奥深く神聖な主祭壇です。中央のピエタ像と、その両脇にひざまずく二人の王の彫刻。この三つの作品には、興味深い物語が秘められています。当時の王ルイ13世は、20年以上も息子に恵まれず、深く心を痛めていました。そのころのフランスでは男子だけが王位を継ぐことができ、ふさわしい後継ぎがいなければ、国の安泰さえ危ぶまれる状況だったのです。そこでルイ13世は、聖母マリアに「どうか男の子を授けてくださるなら、このフランス王国をそっくりあなたに捧げます」と切実な誓いを立てました。すると奇跡のように、まもなく王子が誕生します。のちにフランス史上最も偉大な王のひとりとされる、太陽王ルイ14世です。

父ルイ13世は、約束を果たすためにこの祭壇を新しくつくりたいと願っていましたが、その夢を果たせないままこの世を去りました。それから数十年後、父の約束を忘れなかった息子ルイ14世が、ついにこの荘厳な祭壇を完成させ、父の誓いを守ったのです。物語の中心にあるのは、息子を失った悲しみと神の意志を受け入れる聖母マリアの姿を表した、ニコラ・クストゥのピエタです。その前で、約束のしるしである王冠を捧げているのが父ルイ13世、反対側で感謝の祈りを捧げているのが、約束を果たした息子ルイ14世です。これらの彫刻は、当代随一の巨匠、ニコラ・クストゥとアントワーヌ・コワズヴォの手によるものです。

2019年の火災では、オーク材の骨組みと鉛でできた真上の尖塔が燃えて崩れ落ち、数百トンもの燃える瓦礫が、この祭壇の上へ滝のように降りそそぎました。誰もが、これらの偉大な作品はすっかり壊れてしまったと思いました。ところが、鎮火後に救助隊員が灰の中で目にしたのは、信じがたい光景でした。惨状のただなかで、ピエタ像はほこりをかぶっただけで、ほとんど傷ひとつなく、静かにその場に佇んでいたのです。両脇の王の像も、奇跡的に難を逃れました。真っ黒な灰の中、ただひとつ真っ白に輝くその姿は、絶望に沈んでいた世界中の人々に、希望は崩れないという力強いメッセージを届けました。

さて、次はノートルダムが抱える、もっとも尊く神聖な宝を見に行きましょう。イエスがかぶったと伝えられる、荊冠です。聖王ルイ、すなわちルイ9世が購入してサント・シャペルに納め、のちにノートルダムで保管されてきた、きわめて重要な聖遺物です。復元されたノートルダムは、この貴重な聖遺物のために特別な空間を用意しました。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Abelmontf、Benchaum(CC BY-SA 3.0)。

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