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フランスのcaféはコーヒーショップではない
パリ · パリ, フランス
フランスで、看板に「café」と書かれたお店に入ってみて、戸惑う人は少なくありません。アイスアメリカーノがなく、店員さんのほうがこちらを不思議そうに見ることさえあります。フランスのcaféは、私たちが思い浮かべるコーヒーショップではないからです。とはいえ、多彩なコーヒーメニューやラテアートを備えた素敵なコーヒーショップがない、というわけではありません。もちろんあります。そうしたお店で出されるコーヒーは、フランス語でLe café de spécialité、英語ではspecialty coffeeと呼ばれます。ここでは「高品質コーヒー」と呼ぶことにします。高品質コーヒーの専門店は、豆の選定からブレンド、抽出まで、すべての工程が緻密に組み立てられています。ただ、フランスでこうしたお店が広く人気を集めるようになったのは、まだ10年にも満たないころです。人々の味覚が高まるにつれ、年々増えてきています。
では、フランスのcaféとは何でしょう。軽食とドリンクを出す、格式ばらないカジュアルな飲食店だと考えてください。caféという単語のせいで、英米圏のcoffee shopと同じようなお店だと勘違いされがちですが、フランスにありふれた飲食店で、そこでドリンクやコーヒーも出している、というだけのことです。そのため、ここで飲むコーヒーは、高品質コーヒー専門店のコーヒーとは比べものになりません。話し手によれば、どのcaféに行ってもコーヒーの味はほとんど同じで、メニューも決まっています。その理由は、非常に有名なコーヒーの供給業者Cafés Richardが、多くのcaféにコーヒーを卸しているからだそうです。コーヒーカップやエスプレッソマシンの上に、Cafés Richardのロゴが入っているのを見かけるはずです。イタリアでいえばLavazzaやIllyのような存在と思ってください。
specialty coffeeは、1982年にアメリカで始まったコーヒー文化です。そのため、アメリカの影響を強く受けている国では、高品質なコーヒーがごく身近にあります。一方、ヨーロッパの、それもイタリアのすぐ隣にあるフランスでは、コーヒーは高級な飲み物ではなく、食事のコースのひとつとして日常的に飲むドリンクにすぎません。
ここに、フランスのコーヒー文化の特徴が現れます。外食のあと、素敵なコーヒーショップに場所を移して何時間もおしゃべりする、という文化もありますが、一方フランスでは、コース料理の順番で見たとおり、メインを食べ終えたあと、デザートと一緒に、あるいはデザートのあとに、コーヒーで締めくくります。コーヒーは食事の流れ全体に含まれていて、主役ではなく、食事をささやかに締めくくる役割にすぎません。ですから、食事だけをして別の店に移動し、改めてコーヒータイムをとる必要はなく、最初に入った飲食店で、デザートとコーヒーまで済ませて店を出ます。フランスのcaféでアイスアメリカーノを探してはいけない理由です。
最近は、café frappéというアイスコーヒーのようなメニューを出す店もたまにあります。ただ、アイスコーヒーは氷が命なのに、ぬるいまま出てくるので、がっかりする可能性が高いでしょう。それなら、近くの大手コーヒーチェーンを検索して行くほうが早いと思います。

