ゴッホのオーヴェル=シュル=オワーズ · 9/12

パリ · 絵画

オーヴェル城と印象派のタイムトリップ

オーヴェル=シュル=オワーズ · パリ, フランス

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正門を抜けて左へ少し上ると、チケット売り場があります。オーヴェル城は1635年、メディチ家ゆかりのイタリア人銀行家ザノビ・リオーニによって建てられました。オワーズ渓谷を見下ろし、静かに保存された景色とすばらしいパノラマが自慢です。1662年にジャン・ド・レリーに売却され、このときイタリア風の建物がフランス風に改築されました。連なるテラスはイタリア・ルネサンスの別荘を思わせ、古典様式の城はフランス式庭園と調和しています。

庭園は大きく、イタリア式、フランス式、イギリス式の3つに分かれます。なかでもフランス式庭園は、左右対称の人工的な幾何学模様が特徴で、大きな木を植えないのも特徴のひとつです。大木の陰に刺客が潜むのを防ぐためだったといわれています。城の前庭にあるオランジュリーは、語源をたどればオレンジの木を育てる温室のような場所のことで、パリにもオランジュリー美術館がありますね。昔はオレンジの木がもっとも貴重で、王が下賜する貴重な木だったそうです。そのため、寒くなると木を中に入れられる温室のような建物がオランジュリーです。オレンジという名前は、フランス語で金を意味する「or」と天使を意味する「ange」が合わさったものだという説明もあります。

この城は1987年、地方自治体が敷地全体を買い取り、全面的に改装しました。2017年からは「印象派のタイムトリップ」というマルチメディア展示が常設されており、とても感銘を受けたのでおすすめします。残念ながらフランス語のみでの案内ですが、印象派の画家に関心のある方は、ぜひ一度訪れてみてください。この展示は、芸術家が得るインスピレーションから、それを追い求める芸術運動まで、印象派の歴史をたどります。印象派の父モネ、破壊的な関係と説明されるゴッホとゴーギャン、社会主義的な印象派として紹介されるピサロなどが登場します。2階には、19世紀の画家のアトリエが小さく再現されていて、今にも誰かが絵を描き始めそうな雰囲気です。所蔵作品は多くありませんが、その雰囲気をじっくり味わい、庭園を散歩すれば、一日の疲れが癒えるでしょう。

ガシェ医師の家へ向かう道では、ドン・マクリーンの「ヴィンセント」を聴いてみてください。聴けばきっと誰もが知っている曲ですが、ゴッホを歌った曲だということは意外と知られていません。1971年の作品ながら、古くさい感じはまったくなく、甘い歌声と叙情的な歌詞が魅力です。ゴッホの「星月夜」(1889年)を見て着想を得て書かれたそうで、夏の星空を眺めながら聴くのにぴったりの曲でしょう。

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