ゴッホのオーヴェル=シュル=オワーズ · 8/12

パリ · 絵画

革命記念日の市庁舎とゴッホ像

オーヴェル=シュル=オワーズ · パリ, フランス

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市庁舎の前に立つと、ゴッホの絵を思い浮かべて、「ただ市庁舎を描いただけで、昔と変わらないね」と言う人が多くいます。けれども、絵の中の日付がただの日付ではないことは、知っておく価値があります。それは7月14日、フランス最大の祝日である革命記念日です。フランスでは年に一度、革命記念日を祝って盛大な花火が打ち上げられます。彼らにとって、いかに大切な日であるかが伝わってくるでしょう。

オーヴェルの市庁舎は、ラヴー旅館の通りを挟んだ向かい側にあります。建てられて120年をはるかに超えますが、手入れが行き届いているのか、絵の中の建物とほとんど変わらず、美しく清潔な印象を与えてくれます。絵と同じように、市庁舎には自由・平等・博愛を意味する三色旗がはためいています。ゴッホの絵にはさらに多くの旗が描かれており、これは革命記念日の飾りつけです。人々が祝祭気分で楽しんだであろう7月14日、ゴッホだけは同じ気持ちではなかったのかもしれません。皆が祭りを終えて帰ったあと、ひとり寂しく市庁舎を眺めながら描いたのではないでしょうか。

ゴッホはオーヴェルの市庁舎を比較的大きなキャンバスに描き、この作品は木々や芝生が緑だった1890年7月中旬に生まれました。まだ描きかけの未完成作品ですが、持ち前の速筆でためらいなく描き上げた傑作です。くねくねとした独特のタッチや、踊るような木々の表現は、ゴッホにしか成しえない境地といえます。手前も奥も同じ彩度で塗られているのに遠近感が感じられるのは、大きさで遠近を表しているからです。ゴッホが試みた技法は、遠近や対象の形を無視し、画家の感興によって形や色をゆがめるもので、前にもお話ししたとおり、表現主義に影響を与えました。田舎のありふれた小さな役所だったオーヴェルの市庁舎は、天才画家の目にとまり作品として残ったおかげで、世界中から観光客が訪れる場所になりました。ゴッホは市庁舎だけでなく、オーヴェルのありふれた教会、庭、麦畑、路地までも、一躍世界的な名所に変えたのです。

市庁舎を背にして右へ少し進むと、公園があります。中央にゴッホの像があり、その裏には観光案内所があります。像のゴッホは、ひどく痩せた姿をしています。本当かどうかはわかりませんが、オーヴェルで過ごした70日間、ゴッホはまともな食事を10回もとれず、バゲットとお酒で済ませていたそうです。もともと痩せていたのかもしれませんが、像はあまりに骨ばっていて、痛々しいほどです。背中にイーゼルと画材箱を背負って重そうにしている姿は、彼の人生の重みを映しているようでもあります。像の前に立つと、生涯を貧しさにあえぎ、ときに激しい迫害や偏見にさらされ、認められないまま世を去った彼の人生に、改めて思いを寄せずにはいられません。背の高かったゴッホですが、少し背中を丸めた姿勢からは、世間に堂々と向き合えなかった内面がうかがえ、どこか遠くを見つめるまなざしは、彼が見た自然と、彼が感じた印象を思い起こさせます。像の手を握って、ぜひ記念撮影をしてみてください。

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