パリ · 彫刻
アダムが三度繰り返された、『三つの影』
ロダン美術館 · パリ, フランス
『三つの影』は、先ほど見た『地獄の門』左側にあったアダム像を基本の型として若干の変形を加え、まったく同じ彫刻を三体作ることで完成させた作品だ。すでに作った彫刻を組み合わせ、再配置することがロダンの典型的な制作方法だったが、ここではアダム像をもとに頭を過度に前へ折り曲げ、首と肩がほぼ水平になるように作った。そして三体を横一列に並べて上部が直線になるようにしたのだが、当時としては非常に斬新で大胆な試みだった。
ロダンはこの彫刻を作る際にもルネサンスの巨匠たちの作品を参考にした。三体の彫刻はそれぞれ欲望、権力、強欲を象徴しており、ダンテの『神曲』に登場する人物たちからインスピレーションを得ている。もともとこの彫刻は『地獄の門』の一番上に据えるために作られたのだが、このとき参考にしたのがフィレンツェのサン・ジョヴァンニ洗礼堂だ。そこの『天国の門』の上にも三体の彫刻が位置しており、まさにこの姿からインスピレーションを得て『三つの影』が生まれた。
彫刻に近づいて顔をよく見ると、まるで眠っているかのような穏やかな表情が浮かんでいる。これは現在ルーヴルにあるミケランジェロの『瀕死の奴隷』の表情とかなり似ている。ロダンがルーヴルに頻繁に通い、古代やルネサンスの彫刻から絶えずインスピレーションを得ていたことをよく示す一例だ。
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