パリの劇場と公演 · 15/16

パリ · 街歩き

パリの一年を彩る3つの舞台芸術祭

パリ · パリ, フランス

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公演とフェスティバルに彩られたパリの一年をたどります。開催時期は毎年少しずつ変わることがあるので、気になる催しは事前に正確な日程を確認しておきましょう。ここでは、舞台芸術と深く関わり、筆者が特に好きな3つのフェスティバルをご紹介します。

ひとつ目は、アヴィニョン演劇祭(Festival d'Avignon)です。フランス南部、中世の面影を残す町アヴィニョン全体を舞台に繰り広げられる祭典で、パリから列車で2〜3時間ほど。ラベンダーで知られるエクス=アン=プロヴァンスも近くにあります。到着してまず目に入るのは静かで愛らしい街並み、そして街じゅうの壁に貼られた膨大な数の公演ポスターです。アヴィニョン演劇祭は、1947年に演出家ジャン・ヴィラールが「誰もが楽しめる舞台をつくろう」という目標を掲げて創設しました。舞台芸術の分野では、イギリスのエディンバラ・フェスティバルと並ぶ重要な国際イベントとして定着しています。開幕を飾ったのは、ユネスコ世界遺産の教皇庁、その中庭(クール・ドヌール/Cour d'honneur)で上演されたシェイクスピアの『リチャード2世』。以来この空間は、毎年の演劇祭の中心的な舞台であり続けています。筆者も教皇庁の中庭に設けられた仮設の劇場で観劇したことがありますが、そのスケールに驚き、自然と劇場が織りなす美しい調和にもう一度驚かされました。星の輝く夜空を天井に、2,000人ほどの観客とともに舞台を観る体験は格別でした。そこで観た作品はどれも、神への冒涜とも受け取れる行為やせりふを数多く含んでいて、そうした皮肉と自由な表現のあり方が新鮮で、強烈に心に残りました。

1960年代半ばからは新しい会場が次々に生まれました。そのほとんどは歴史的な建築物で、もとは上演のための場所ではないものの、毎年夏だけは独創的な劇場空間に姿を変え、アヴィニョンを「まちじゅうが劇場」にしています。演劇祭は大きく2つに分かれます。ひとつは「イン(In Festival)」で、公式招待の約40作品に加え、朗読、展示、映画上映、討論会などで構成されます。教皇庁での公演もインに含まれます。世界初演やフランス初演の作品が多く、新しい劇作家、演出家、俳優が登場する登竜門として重要な役割を果たしています。もうひとつは、フリンジ形式の「オフ(Off Festival)」です。プロの劇団だけでなくアマチュアも自由に参加でき、毎年およそ1,000もの劇団やアーティストが集まります。国際的なイベントだけに、特にインの公演はほとんどが英語字幕つきで、挑戦しやすい演劇祭といえるでしょう。インの公演はチケットが早く売り切れる傾向があるので、気になる方は早めに購入を。また、夏でも夜は気温がぐっと下がるため、厚手の上着を持っていくのがおすすめです。

ふたつ目は、音楽祭(Fête de la Musique)です。毎年6月21日、夏の始まりである夏至に開かれ、「誰もが、どこでも音楽を奏で、楽しもう」をモットーにしています。世界約120か国で同時に開催されています。発祥の地はフランス。1982年、当時のフランス文化大臣ジャック・ラング(Jacques Lang)が始め、その後世界各地に広がって、いまや世界的な音楽の祭典の象徴となりました。筆者は昨年の音楽祭で、窓の外に向けてバイオリンを弾いていた人の姿が忘れられません。カフェのテラスでDJをする人もあちこちにいましたし、セーヌ川沿いでエレクトロニックミュージックを流して踊る人たちもいました。ダンスなどの公演も並行して行われるほど多彩で、筆者の友人たちは、事前にプログラムをくまなくチェックして、一日じゅうパリを歩き回り、いわば「ハシゴ巡り」を楽しむこともあります。夏の始まりのこの日は一日中熱気にあふれ、地下鉄もこの日ばかりは夜遅くまで運行されます。

3つ目は、フェスティバル・ドートンヌ(秋の芸術祭/Festival d'Automne)です。1972年にパリで始まった現代芸術の祭典で、さまざまな芸術分野にまたがる革新的で実験的な作品を紹介しています。フランスの元大統領ジョルジュ・ポンピドゥーの要請で始まり、パリが国際的な芸術の中心地として確固たる地位を築けるよう企画されました。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より(CC0)。

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