パリ歴史散歩 · 12/18

パリ · 街歩き

オランジュリー美術館とモネの『睡蓮』

パリ · パリ, フランス

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チュイルリー庭園の中にあるオランジュリー美術館の名は、英語の「オランジェリー」と同じ意味で、冬の間、柑橘類の木を寒さから守るために建てられた建物を美術館に改装したことに由来します。もし別の果樹を育てる場所だったなら、美術館の名前も変わっていたかもしれません。ここは、ルーヴル、オルセーと並んで、パリを訪れたら必ず立ち寄る美術館のひとつです。最も象徴的なルーヴル、さまざまな画家の美しい作品が集まるオルセーとは違い、オランジュリーはクロード・モネの『睡蓮』が展示されている美術館として有名です。

『睡蓮』は、モネが最初の妻、二番目の妻、さらに息子まで亡くして絶望の淵にいた時期に、自らの池を描いた作品です。モネは池を描くことで、絶望の中にも人生の安らぎと慰めを見いだしたといいます。のちにモネは、この作品を、世界大戦が終わり平和を迎えたフランスに、平和の象徴として寄贈しました。戦争で心身ともに疲れ果てたフランスの人々に、自分が池を描いて得た慰めと安らぎを贈ったのです。ガイドは、展示室に足を踏み入れたとき、ほかの美術館では感じたことのない平穏と安心感を覚え、モネと美術館の意図を確かに受け取れた気がした、と語っています。

モネの『睡蓮』は、2つの展示室に合計8点が飾られています。展示室は2つの楕円がつながった無限大(∞)の形をしていますが、これは、モネが色彩の連続性を無限に見せたいと考えたからです。最初の展示室(西側)には夕暮れの睡蓮、奥の展示室(東側)には夜明けの睡蓮を配置するなど、細やかな工夫も見どころです。天井にもその工夫が及んでおり、ガラス張りにして、モネが『睡蓮』を描いたときに眺めた池の姿を、来館者も自然光の中で見られるようにしています。晴れた日に訪れれば、人工の照明ではなく自然光に包まれた睡蓮をいっそう美しく鑑賞できますので、日程に余裕があれば晴れた日をおすすめします。ミュージアム・パスで入場でき、予約をしておけば大丈夫です。

オランジュリーには『睡蓮』のほかにも、ピカソの初期作品からポール・セザンヌまで、19世紀から20世紀初頭の印象派・後期印象派の作品が展示されています。19世紀のパリでは、安い下宿を求めて画家たちがモンマルトルに集まりました。そのモンマルトルの画家たちの作品もありますので、『睡蓮』だけでなく、ほかの作品もぜひご覧ください。

美術館の内部解説はありませんので、散策しながらお聴きいただけます。次の目的地はグラン・パレです。道中には、グラン・パレとプティ・パレが誕生した時代を扱う2つの章、ベル・エポックと万国博覧会のお話をご用意しています。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Didier B(CC BY-SA 2.5)。

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