パリ名所めぐり · 12/32

パリ · 街歩き

エッフェル塔 ― シャイヨー宮から展望台まで

パリ · パリ, フランス

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凱旋門から、エッフェル塔をいちばんきれいに眺められるシャイヨー宮までは、徒歩で20分ほど。歩きたくなければ、メトロかバスを利用しましょう。シャイヨー宮はメトロのトロカデロ駅のすぐそばにあります。1937年のパリ万国博覧会のために建てられた宮殿で、現在は海洋博物館や人類博物館、国立劇場などが入る複合文化施設です。それでも旅行者にとっては、何よりエッフェル塔を眺める最高のスポットとして知られています。シャイヨー宮とエッフェル塔の間にはセーヌ川が流れていて近い距離ではありませんが、シャイヨー宮のテラスからは、エッフェル塔の正面の姿を一望できます。エッフェル塔はパリで最も高い建造物なので、近づきすぎるとかえって全体が見渡せないのです。

パリとフランスの象徴であるエッフェル塔は、フランス革命100周年を記念して1889年に開かれた万国博覧会を記念して建てられました。設計者のギュスターヴ・エッフェルにちなんで名づけられ、もともとは博覧会の終了後に撤去されることを条件に建てられたものでした。完成当時は「パリの景観を損なう不快な建造物」と酷評され、取り壊しの危機に瀕したこともあり、エッフェル塔が見えない場所を探し回る人が多かったという話もよく耳にします。特にギ・ド・モーパッサンは、エッフェル塔を毛嫌いしていたことで有名です。彼はあれほど塔を嫌っていたのに、毎日塔の中のレストランで食事をしていたそうで、理由を尋ねられると「ここがエッフェル塔の見えない唯一の場所だから」と答えたという逸話はあまりにも有名です。実際、エッフェル塔はパリのどこからでも簡単に見えます。市内の建物はほとんどが4〜5階建て以下で、塔の高さは300メートルとパリで最も高い建造物だからです。

エッフェル塔が建てられた当時は、300メートルもの塔を建てることなど想像もできませんでした。木や石で建物をつくっていた時代に、高く建てるのは容易ではなかったでしょう。ところが、その頃になると鉄やアルミニウムといった新素材が登場し、建築家たちは競って新素材を使ったさまざまなモニュメントや建築物をつくり始めます。万国博覧会を開く国ごとに、大胆なモニュメントがひとつずつ建てられた時代でした。エッフェル塔もパリのほかの建造物とそぐわないと評されましたが、他国の人々の目を引くには欠かせない実験的な建築物でもありました。反対する市民たちに、博覧会が終わってから20年間立てておいたのち撤去すると約束して、ようやく建設にこぎつけたといいます。

紆余曲折を経て完成したエッフェル塔には、博覧会が開幕するやいなや、塔を見て上ろうとする人々が押し寄せました。公開から8か月で200万人以上が上ったほどです。古典的なパリと近代的なパリが入れ替わる過渡期に生まれたエッフェル塔は、「景観を損なう醜い鉄の塊」という評価と「パリの象徴」という評価を同時に受けることになりました。本来撤去されるはずだった時期を100年以上も過ぎた今も、パリの象徴としてそびえ立っているのも、この過渡期のおかげです。当時、テレビやラジオが発達し始め、パリ市内に送受信塔が必要になりましたが、すでに高くそびえていたエッフェル塔は、送受信塔として申し分のない条件を備えていました。送信アンテナを立てるという理由で、取り壊しの危機を免れたのです。

現在のエッフェル塔は、展望台として人気を集めています。塔は1階から3階までの3層で、1階にはレストランの入口、2〜3階が展望台です。ちなみに、パリでは日本でいう2階を1階と呼び、日本式の1階は0階と呼びます。2〜3階の展望台に上る方法は、階段とエレベーターの2通りで、入口も料金も異なります。階段のほうが安いものの、上れるのは2階までで、2階から3階へは必ずエレベーターに乗らなければなりません。てっぺんまで行きたくて、歩いて上ること自体が目的でないなら、最初からエレベーターを使うほうが、料金的にも時間的にも効率的です。ただしエレベーターでも、2階から3階へは別のエレベーターに乗り換える必要があります。最も高い場所からパリ全体を見下ろせる、美しい眺めで人気の展望台ですが、ただひとつ見えないのが、パリで最も有名な観光名所であるエッフェル塔そのものです。

日が暮れると、毎正時に5分間、エッフェル塔はきらめく光に包まれます。この姿を一望するなら、シャイヨー宮に戻って眺めるのもよし、エッフェル塔とシャイヨー宮の間にあるイエナ橋から眺めるのもよし。エッフェル塔が建つシャン・ド・マルス公園から見上げるのもおすすめです。きらめくエッフェル塔を眺めながら、パリの一日を締めくくりましょう。

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