パリ · 建築
サン・ヴァンサン・ド・ポール礼拝堂
パリ · パリ, フランス
**外観**
新古典主義と初期歴史主義を見られる、サン・ヴァンサン・ド・ポール礼拝堂です。三角形の屋根の上の小さな十字架がなければ、神殿の入口と言われても信じてしまいそうな、平面的に見える新古典主義様式の建物です。この礼拝堂は、ラザリスト会の修道院の一部として建てられました。貧しい人々のそばに寄り添った聖ヴァンサン・ド・ポールの精神がそのまま表れた建築です。入口の上の円の中にある彫像は、礼拝堂の名前が示すとおり、聖ヴァンサン・ド・ポールです。
**修道院の中庭**
入口から右を見ると緑色の扉があり、その奥が修道院の中庭です。ここは先ほどの入口とはまったく雰囲気が異なり、よく見る教会の入口に近い印象です。新古典主義様式の左右対称の建物の中央に、小さくてスリムな鐘楼と時計があり、その下のアーチ型の空間で両手を広げて迎えてくれるのが、今日の主役、聖ヴァンサン・ド・ポールです。
**聖ヴァンサン・ド・ポール**
ヴァンサン・ド・ポールは、17世紀のフランスの司祭で、貧しい人々の救済や病人・孤児の世話に尽力した聖人です。カトリックの歴史上もっとも偉大な慈善家とも評される、貧しい人々のための司祭でした。慈善にとどまらず、組織的な救護の仕組みもつくり、修道院にいた修道女たちが街や病院へ出ていくようになりました。その活動は今も世界中で続いています。また、ラザリスト宣教会を設立し、農村での宣教や聖職者の教育にも力を注ぎました。ツアーで訪れる教会の随所で、その足跡に出会えます。
ルイ13世と王妃の相談役を務めるなど王室からの信頼も厚かったものの、政治的な権力よりも貧しい人々の救済を重んじたといいます。そのため、慈善事業の守護聖人として敬われています。礼拝堂の窓には、貧民救済、病人や孤児の世話、宣教活動など、彼の生涯を描いたステンドグラスがはめ込まれています。
**聖遺物箱と天井**
ウォーキングツアーのため今回は内部には入りませんが、小さくても見どころの多い場所なので、写真で簡単にご紹介します。実際に入ってご覧になれば、なおすばらしいでしょう。
この礼拝堂は、ヴァンサン・ド・ポールが創設した宣教会に属しているため、彼の遺骨がここにあります。祭壇の上には、礼拝堂の大きさに比べて巨大な銀製の聖遺物箱があり、華麗な銀細工と、それを支える天使の彫刻が特徴です。祭壇脇の階段を上がると、聖遺物箱をより間近に見られます。
聖人の遺骨がある場所にしては、教会そのものが思いのほか小さく、外観も地味ですが、内部は華やかです。銀の聖遺物箱もその理由のひとつですが、もうひとつは天井でしょう。深い青の地に、金の装飾と星を思わせる模様、色鮮やかに彩られたアーチが合わさり、まるで小さなバチカンの「地図の間」を見ているようです。
**パイプオルガン**
礼拝堂の入口の上には、カヴァイエ=コル製のパイプオルガンがあります。点字の考案者ルイ・ブライユが、ここでオルガニストを務めたこともありました。フランス・ロマン派オルガンの代表作で、今もオリジナルの姿がかなりよく保たれています。
**道案内**
次の目的地は、すぐ隣の奇跡のメダイユの聖母礼拝堂です。所要時間は約4分。ファサードに向かって左の道を進み、最初の交差点で再び左へ道を渡ります。信号を守って、気をつけて渡りましょう。両側にあるル・ボン・マルシェ百貨店の間の道に入り、左側の百貨店の建物が終わったところに接する次の建物が、奇跡のメダイユの聖母礼拝堂です。


