パンテオン · 25/28

パリ · 建築

ヴィクトル・ユゴーの棺

パンテオン · パリ, フランス

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この部屋には、19世紀フランスで名を馳せた作家3人の棺があります。ヴィクトル・ユゴーとエミール・ゾラの棺が両側に、アレクサンドル・デュマの棺が正面に置かれています。ユゴーとゾラは、混乱のフランス革命期が過ぎたあと、下層の人々の過酷な暮らしを文学に描いた小説家で、デュマはフランス歴史小説を代表する作品を書いた小説家です。いまは3人が一緒に眠っていますが、このなかに仲の悪かった2人がいます。棺が向かい合っているユゴーとゾラです。ユゴーがパンテオンに安置されたことで、あれほど折り合いの悪かったゾラと向かい合って眠ることになりました。

3人のなかで最もなじみ深い名前は、ヴィクトル・ユゴーでしょう。ユゴーといえば思い浮かぶのが、映画やミュージカルでおなじみの『レ・ミゼラブル』です。レンガのように分厚いこの小説は、フランスで聖書の次に読まれた本といわれています。本を読んだり、映画やミュージカルを観たりしたことがなくても、ジャン・ヴァルジャンがパンを盗んだ話は聞いたことがあるはずです。

物語の時代背景は、1780年代から1830年代にかけてのフランス革命期です。ユゴーは、この混沌とした時代を生きた貧しく苦しい人々の物語を書くと決め、タイトルもフランス語で「惨めな人々」としました。極貧だったジャン・ヴァルジャンは、父親のいない甥や姪のためにパンを1つ盗んで逮捕され、懲役5年を言い渡されます。その後、脱獄を試みては捕まることを繰り返して刑期が5年から19年に延び、19年の獄中生活を終えてようやく外の世界に出ます。出所後は、先ほど触れた1830年の七月革命が起きる状況のなか、さまざまな階層の人々と出会う物語が展開します。代表的なのが、孤児の生まれで、10歳から工場で働き、のちに未婚の母となる数奇な人生を送ったファンテーヌです。映画では、アン・ハサウェイがファンテーヌを、ヒュー・ジャックマンがジャン・ヴァルジャンを演じました。

ユゴーは『レ・ミゼラブル』を通じて、何を伝えたかったのでしょうか。彼は「芸術は民衆のためにつくられ、すべては神から来て民衆へ向かう」と常々語っていたそうです。文学のなかに民衆の物語を盛り込み、フランス社会の問題を告発しようとしたのです。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Ciptur、Aldo Ardetti(CC BY-SA 3.0 / CC0)。

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