パリ · 建築
クローヴィス1世の生涯
パンテオン · パリ, フランス
この壁画は、クローヴィス1世がトルビアックの地でアラマン人と戦う場面を描いています。クローヴィス1世は、フランスの起源となったフランク王国の初代国王です。ローマ帝国が東西に分裂し、西ローマ帝国が滅亡した混乱に乗じてフランク諸部族をまとめ上げ、王国を築きました。その後は積極的に南へと領土を広げています。領土の広がりを見るだけでも、いかに戦に長けた王だったかがうかがえます。名前も、古フランク語で「名声」を意味する「フロード」と、戦いを意味する「ヴィク」が組み合わさり、「戦場での名声」という意味になります。数々の勝利のなかでも最も有名なのが、この絵に描かれたトルビアックの戦いです。
絵の中のクローヴィスは、天に向かって祈っています。彼は、アラマン人の攻撃を受けていたフランク族を助けるために出陣しましたが、兵は足りず、残った兵士も疲れ果て、敵に押されてトルビアックまで後退した劣勢の状況でした。それでも希望を捨てなかったクローヴィスは、妻の信じる神に祈ったと伝えられています。「妻が信じる神よ、私に勝利をお与えくださるなら、私もあなたを信じます」。この祈りのあと、クローヴィスは形勢を逆転し、勝利を収めました。
絵に向かって右側には、もう一枚の絵があります。洗礼を受けるクローヴィス1世の姿です。祈りに応えてくれた神を信じるという約束どおり、3千人の部下とともに洗礼を受ける場面が描かれています。当時は、カトリックではなく、イエスを人間、あるいは半神半人とみなすアリウス派を信じる人が大多数でした。クローヴィスの洗礼をきっかけに、多くの人々がカトリックへ改宗していきます。



