パリ · 建築
ドームの天井画とペンデンティブ
パンテオン · パリ, フランス
顔を上げると、天井がはるか遠くに見えます。パンテオンのドームは高さがなんと85m、屋根の重さは1万5千トンにも及び、この重いドームをたった4本の柱が支えています。建築当時は、ドームが頭上に崩れ落ちるのではと心配する記事が新聞に載ったほどだったそうです。それでも実現できたのは、建築家スフロが巨大な鉄の骨組みの上に石材を載せ、ドームを頑丈に仕上げたからです。
まずは天井画から。ナポレオン1世の従軍画家だったアントワーヌ=ジャン・グロが描いた作品で、パリの守護聖人である聖ジュヌヴィエーヴとともに、フランス史上もっとも偉大な君主たちが描かれています。注文主はナポレオン1世。自分がフランスの偉大な君主たちの後継者であることを示し、正統性を強調したかったのです。共和国の第一統領だった彼は、クーデターを起こして皇帝になった人物だからです。
そこでグロは、中央に聖ジュヌヴィエーヴを描き、左から右へ、5世紀の王クローヴィス1世、8世紀の皇帝シャルルマーニュ、13世紀の王聖ルイ、そしてナポレオン1世を描くことになりました。ところが、最後の位置にいるのはナポレオン1世ではなく、ルイ18世です。グロがクローヴィス1世とシャルルマーニュまで仕上げたころ、ナポレオン1世はすでに島に流されていました。征服欲に駆られて無理な戦争を重ね、数々の戦いに敗れた末のことです。帝国が崩壊してルイ18世による王政復古が行われると、グロはナポレオンの代わりにルイ18世を描くよう命じられました。こうして、1811年にナポレオン1世が注文した絵は、1824年にルイ18世が描かれて完成したのです。
続いてペンデンティブです。ペンデンティブとは、ドームの下で四隅を支える三角形の部分を指す建築用語です。天井画は1824年に完成しましたが、ペンデンティブの装飾は1831年になってもまだ描かれていませんでした。1831年、国王ルイ=フィリップ1世が画家フランソワ・ジェラールに依頼して完成させ、栄光、正義、死、祖国を象徴する女神たちが描かれています。

