パリ · 建築
フーコーの振り子
パンテオン · パリ, フランス
紐に吊るされて、左右に一定のリズムで揺れる鉄の球。これが「フーコーの振り子」です。このように揺れ動く物体を「振り子」と呼び、「フーコー」は人の名前。フランスの物理学者レオン・フーコーが、地球の自転を証明するためにこの振り子で実験を行ったことから、この名がつきました。
では、振り子でどうやって自転を証明するのでしょうか。自転とは地球が自分自身で一周することで、地球が一日一回自転するから昼と夜が入れ替わる、というのは学校で習った通りです。ところが、フーコーが生きた1850年代には、太陽が動くから昼夜が入れ替わると信じる人もいました。ガリレオやコペルニクスはすでに、動いているのは太陽ではなく地球だと唱えていましたが、科学的な実験で証明されたわけではありませんでした。
そこでフーコーは、振り子の動きを丸一日観察する実験で証明しようと考えます。床に目盛りと数字を記して、振り子の動きを確認したのです。振り子が左右に往復する軌跡を「振動面」と呼びますが、時間がたつにつれて、この振動面が時計回りに少しずつ回っていきました。振り子に触れていないのに振動面が変わった。それは、地球自身が回転しているからにほかなりません。地球の自転を自分の目で確かめられるようにした点に、フーコーの振り子の大きな意義があります。
科学的事実を証明した実験なら、科学博物館にありそうなものですが、なぜフランスの偉人たちが眠る国立墓所、パンテオンにあるのでしょう。それは、フーコーがパンテオンに数百人ものパリ市民を集めて、この実験を行ったからです。ただし、パンテオンが最初の実験場所だったわけではありません。当初フーコーは、地下室で長さ2mの短い紐に5kgの軽い振り子を吊るして実験していました。地球のわずかな動きを示すには、振り子が最低でも2時間は動き続ける必要がありますが、軽くて紐が短いため、すぐに止まってしまったのです。そこで、高いパンテオンのドームがぴったりの実験場所となりました。目の前で揺れている振り子は、重さ28kg、紐の長さは67mにもなります。
その後、ナポレオン3世がクーデターで皇帝になると、パンテオンは国立墓所から再び教会に戻され、フーコーの振り子はパリの国立工芸院博物館に移されました。やがてパンテオンが再び国立墓所となると、レプリカが作られ、1995年からパンテオンで再び展示されています。フーコーが実験を行ったまさにその場所で、この振り子を見ることができるのはそのためです。

