パリ · 建築
ジュール・エリー・ドローネ『聖ジュヌヴィエーヴの生涯』
パンテオン · パリ, フランス
この壁画は、19世紀フランスを代表する新古典主義の画家、ジュール・エリー・ドローネの作品『聖ジュヌヴィエーヴの生涯』です。ドローネは、主に壁画を手がけた画家でした。
絵に描かれているのは、パリの守護聖人ジュヌヴィエーヴの逸話です。正面から見て左の絵では、馬に乗ったフン族の王アッティラが、軍勢を率いてパリへ進軍しています。正面の絵では、その知らせを聞いたパリの人々が避難の準備をしています。当時パリで修道生活を送っていたジュヌヴィエーヴは、神に祈ればパリは無事だろうと人々に語りかけます。白い衣をまとい、指で天を指している女性が、聖ジュヌヴィエーヴです。けれども、人々はその言葉をすぐには信じられず、「そんなばかな」とジュヌヴィエーヴに石を投げつけています。
ところが、ジュヌヴィエーヴの言ったとおり、アッティラはパリに入らず、馬首を別の方向へ向けました。そこで人々は、彼女の言葉を信じ始めたのです。
その後、フランク族の王がパリを占領したときにも、ジュヌヴィエーヴは、飢え死にしそうなパリの人々に食べ物を分け与え、捕虜となった人々の解放のために敵と交渉したといいます。このように、パリが危機に陥るたびにパリのために動いた人物であることから、ジュヌヴィエーヴはパリの守護聖人に推戴されました。
今私たちがいるパンテオンは、もともとサント・ジュヌヴィエーヴ教会でした。パンテオンの前身となったこの教会をたたえて、聖女の絵が描かれたのです。ここにはもともとジュヌヴィエーヴの遺骨も安置されていましたが、現在、聖女の遺骨はノートルダム大聖堂の尖塔の頂にある雄鶏の形の彫像の中に納められているといいます。

