パンテオン · 20/28

パリ · 建築

国民公会の彫像

パンテオン · パリ, フランス

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国民公会の彫像が立つこの場所は、もともと教会の聖歌隊席があったところです。パンテオンが教会として使われなくなった今は、国民公会の彫像がその場所に据えられています。国民公会とは、フランス革命後に王政が倒れて成立した第一共和政の議会のこと。宗教的な場所だった聖歌隊席に、非宗教的な国民公会の彫像が置かれたわけです。教会から共和国の偉人たちのための国立墓所へ、つまり宗教的な空間から非宗教的な空間へと変わったパンテオンの歴史が、この姿から読み取れます。

彫像をじっくり見る前に、顔を上げて、パンテオンに残る宗教的な痕跡が見える絵を一枚見ておきましょう。フランスの画家エルネスト・エベールの作品で、中央のイエスは、左手に預言の書を持ち、右手で前方を指し示しています。イエスは傍らの守護天使に、パンテオンの壁画に描かれたフランスの歴史的な出来事を見せており、その両脇には、歴史の主役である聖女ジャンヌ・ダルクと聖女ジュヌヴィエーヴがいます。守護天使の表情はどこか困惑しているように見えませんか。フランスの歴史が苦難の連続だったことをうかがわせる表情です。

では、彫刻家フランソワ・レオン・シカールの作品を見てみましょう。大きな文字で「la convention nationale(ラ・コンヴァンシオン・ナシオナル)」と刻まれています。英語にすれば「ザ・コンベンション・ナショナル」、つまり国民公会という意味です。王が神にも等しかった絶対王政を経て、いまや王ではなく国民が国の主人となる共和国が誕生したことを記念する彫像です。その文字の上には、フランス革命の価値を表す言葉「vivre libre ou mourir(ヴィーヴル・リーブル・ウ・ムリール)」、すなわち「自由か、さもなくば死を」が刻まれています。

この言葉の上には、フランス革命の精神を象徴する女性、マリアンヌの像があります。マリアンヌは、ドラクロワが描いた絵の主人公として最もよく知られています。絵でも彫像でも、マリアンヌは赤い帽子をかぶっていますが、これは「フリジア帽」と呼ばれるものです。古代ローマで、奴隷が自由民の身分を得て解放されたときにかぶった帽子で、フランス革命のときにも「自由」の象徴として、国王軍と戦う市民軍がかぶっていました。『スマーフ』のリーダー、パパ・スマーフがかぶっている赤い帽子が、まさにこのフリジア帽です。

マリアンヌは片手に剣を持っていますが、その切っ先が下を向いているのが特徴です。フランス各地を旅していて、フリジア帽をかぶり、剣を下に向けた彫刻や絵に出会ったら、フランス革命を象徴するマリアンヌだと思って間違いありません。マリアンヌ像の右には議員たちの彫刻、左には軍隊の彫刻が並んでいます。

マリアンヌは実在の人物なのでしょうか。いいえ、架空の人物です。フランス革命のころ、自由、平等、博愛という革命の精神を体現する女性を「マリアンヌ」と呼びはじめたのが由来です。なぜマリアンヌと呼んだのかははっきりしませんが、当時の庶民のあいだで最もありふれた女性の名前だったからではないか、という推測が多く聞かれます。マリアンヌは1848年にフランス共和国のシンボルとして公式に定められ、フランス政府が公式に使うロゴも、マリアンヌの横顔です。

このあとは地下へ下りて、フランス共和国の偉人たちの棺を見ていきますが、なかには棺を地下に安置できなかった偉人もいます。そうした人々の名前は、国民公会の彫像の両側にある柱の通路の壁に刻まれています。革命家や芸術家の名前が並び、右側の柱の通路には作家サン=テグジュペリの名前もあります。サン=テグジュペリは第二次世界大戦中にフランス空軍に入隊し、偵察機を操縦中に行方不明となったため、棺が存在しません。そのため、名前だけがここに刻まれているのです。地下へ下りる前に、彼の名前を探してみるのもおすすめです。

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写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:Triboulet、Disheol、Zairon(CC BY-SA 1.0 / CC BY-SA 3.0 / CC BY-SA 4.0 / CC0)。

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