パリ · 建築
アヴァン・フォワイエと神話の恋人たち
オペラ・ガルニエ · パリ, フランス
大階段を見下ろせるこのテラスは、記念写真を撮るのにぴったりの場所です。撮影を終えたら、後ろを振り返ってみましょう。
ここは「アヴァン・フォワイエ」です。「フォワイエ」はもともとフランス語で「暖炉」を意味します。昔は暖房器具といえば暖炉しかなく、寒いときには人々が暖かい暖炉の前に集まったことから、人が集まる空間をフォワイエと呼ぶようになったそうです。現在では暖炉よりも、建物の中で人が集まる空間そのものを指す言葉として使われ、休憩室、宴会場、玄関ホール、応接室などを総称してフォワイエと呼びます。オペラ・ガルニエにはフォワイエが2か所あり、ここはそのうちのひとつです。「アヴァン」は「前面」という意味なので、「手前にあるフォワイエ」という意味になります。
天井はモザイク技法で飾られ、ギリシャ神話の4組のカップルが描かれています。左から、月の女神アルテミスと羊飼いの少年エンデュミオンです。アルテミスが、美しいエンデュミオンが年を取らないよう永遠に眠らせたため、エンデュミオンは目を閉じています。その隣では、自然の精霊エウリュディケと、吟遊詩人でリラの奏者のオルフェウスが手をつないでいます。次は、暁の女神エオスが、美男の狩人ケパロスを抱き寄せる場面です。エオスは、早朝に狩りをしていたケパロスがあまりに美しかったため、さらってしまったといわれています。最後は、人間のプシュケと伝令の神ヘルメスです。この2人は唯一、恋人同士ではありません。プシュケの本当の相手は愛の神エロスだからです。エロスが人間のプシュケと結婚したいとゼウスに頼み、ゼウスはプシュケを不死の神にすることにしました。この場面は、人間界と神々の世界を行き来できる伝令の神ヘルメスが、プシュケを神々の世界へ連れていく様子を描いています。
天井の下、扉の上には、オペラ座の建築に力を尽くしたさまざまな職人たちを表した彫刻装飾があります。翼のある天使たちが、のこぎりや金づちなどの工事道具を手にしています。