オペラ・ガルニエ · 20/33

パリ · 建築

『オペラ座の怪人』5番ボックス席

オペラ・ガルニエ · パリ, フランス

オペラ・ガルニエ
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5番ボックス席の前に着いたら、目の前の赤い椅子に腰かけて話を聞いても構いません。足が疲れたときは、椅子が空いていれば座って休んでください。

ボックス席は、オペラ劇場でもっとも高価な特別観覧席で、通常は1ボックスに5人以下で座って観劇します。現在は舞台に近い1階席がいちばん人気で値段も高いですが、当時のボックス席は身分の差を示す空間だったため、はるかに高額でした。上流階級の人々がボックス席でゆったりと観劇する一方で、1階の平民たちは、ぎゅうぎゅう詰めのまま背筋を伸ばして座って観なければなりませんでした。

数あるボックス席の中でもっとも有名なのが、この5番です。『オペラ座の怪人』の主人公エリックの指定席だからです。エリックは劇場の支配人に、5番ボックス席は自分の席だから空けておかなければ報復する、という脅迫状を送ります。この設定は、作家ルルーが実話からヒントを得たもので、19世紀末に匿名の人物が劇場の理事会に「毎晩、自分のために5番ボックス席を予約すること」「毎月2万フランの報酬を支払うこと」を要求した実際の事件を参考にしたといわれています。

主人公エリックの物語も、実在の人物にまつわる話がもとになっているそうです。ルルーはオペラ・ガルニエの地下で男性の遺体が見つかったという記事を目にして、かつてのピアニストにまつわる噂を思い出しました。オペラ・ガルニエの前にあったオペラ劇場は大火事で焼失したのですが、この火事で、婚約していたバレリーナとピアニストが亡くなったといいます。その後、ピアニストが顔にやけどを負ったまま幽霊となり、オペラ・ガルニエの地下で婚約者のバレリーナのために歌を作曲しながら暮らしている、そしてこの無念を抱えた幽霊が劇場でさまざまな事故を引き起こしている、という噂が広まりました。ルルーはこうした記事や噂に着想を得て、劇場の地下に住む醜い顔の天才音楽家、エリックという人物を生み出したといわれています。

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