パリ · 建築
建設中断の危機とサル・ル・ペルティエの大火
オペラ・ガルニエ · パリ, フランス
オペラ・ガルニエは、1861年に礎石が置かれ、15年後の1875年に完成しました。当時としてはかなり長い期間です。1870年にプロイセンとフランスの間で戦争が起こり、工事が中断されたためです。工事中の建物は、戦時中、食料の貯蔵庫として使われました。さらに、ナポレオン3世は戦争で降伏・敗北して皇帝の座を追われ、イギリスに亡命し、1873年に亡くなります。ナポレオン3世の命で始まった工事は、このまま立ち消えになるかに思われました。
ところが同じ年、もともとの国立オペラ劇場だったサル・ル・ペルティエが、火災で焼失します。火災の原因はガス灯だったといわれています。ガス灯は、当時の舞台界にとって革新的な技術でした。ろうそくや油を使っていた頃は、灯りをつけたり消したりするたびに照明の前まで行かなければなりませんでしたが、ガス灯が使われるようになってからは、パイプを通じて離れた場所からでも明るさを調節できるようになったからです。
ただし、それだけ危険も伴いました。世界中の舞台でガス灯が使われていた当時の記録によると、1860年から1880年までのわずか20年の間に、少なくとも50の劇場がガス灯による火災で焼失したといいます。サル・ル・ペルティエもそのひとつでした。火災の規模は、添付した当時の絵からもご確認いただけます。
こうしてサル・ル・ペルティエが焼け落ちたことで、国立オペラ劇場の必要性があらためて高まり、中断されていたオペラ・ガルニエの工事が再開され、ついに完成に至ったのです。