オペラ・ガルニエ · 22/33

パリ · 建築

馬蹄形の劇場と赤・金の装飾

オペラ・ガルニエ · パリ, フランス

このスポットの音声解説はアプリで MuseCatアプリ アプリで聴く

2000人以上を収容する、19世紀最大規模の劇場です。舞台を中心にボックス席が馬蹄形に取り囲んでいますが、これが伝統的なオペラ劇場の形です。イタリアの建築家カルロ・フォンターナが1642年に建てたサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ劇場が馬蹄形劇場の元祖であることから、「イタリア式劇場」とも呼ばれます。舞台と客席が近く、視界がよいのが利点で、俳優の演技がよく見え、音もしっかり届く必要のあるオペラにぴったりの形といえます。

客席も舞台も、金色と赤色で華やかに彩られています。舞台の幕の上にある丸い装飾の中央には、ルイ14世の象徴である太陽があり、その右には1669年という数字が刻まれています。1669年はルイ14世が王立音楽アカデミーを創設した年で、この組織が現在のパリ国立オペラへと発展したため、このような装飾が残されています。

ガルニエは金色のほか、赤も多く用いました。そこには2つの理由があります。人工染料が発明されるまで、赤は手に入れにくく、貴族や王族を表す色でした。赤によってオペラ・ガルニエの気品を示そうとしたのです。また、華やかに装ってきた女性客が引き立つよう、あえて赤を選んだともいわれます。シャンデリアの光とこの赤が合わさると、肌がいっそう明るく見えるからです。

劇場には、皇帝と皇后のための専用ボックス席もありました。舞台にいちばん近い端のボックス席がそれです。舞台を見るなら中央が最適ですが、端は舞台が見えにくい反面、すべての観客が一目で見渡せる位置でした。暗殺やテロなどの襲撃に備え、あえて端が選ばれたのです。皇帝席と皇后席をよく見ると、女性の彫刻装飾が異なります。皇帝側の女性は衣服をまとい、皇后側の女性は衣服を着けていませんが、これはナポレオン3世の目を楽しませるための装飾だったといわれています。

天井には、約340個の灯りとクリスタルで飾られた巨大なシャンデリアが吊られています。重さはなんと8トンです。『オペラ座の怪人』の名場面のひとつに、エリックが自分の警告に従わない支配人たちに怒り、シャンデリアを落下させる場面がありますが、これは1896年にシャンデリアの釣り合いおもりが落下して職員が亡くなった実際の事故をモチーフにしています。

音声ガイド

作品の前で、 再生するだけ。

アプリで聴く

無料ダウンロード · iPhone

iPhoneでスキャン

← マガジン一覧へ戻る

写真は ウィキメディア・コモンズ より。撮影:scarletgreen(CC BY 2.0 / Public domain)。