パリ · 絵画
ジヴェルニーという実験室、モネ『睡蓮』
オルセー美術館 · パリ, フランス
睡蓮はモネの画家人生を通じて最も重要な主題だった。それだけこの題材で描かれた作品数もかなり多く、オルセー美術館では通常二点の睡蓮の絵を展示している。
絵の背景は、パリ近郊ジヴェルニーにあったモネの自宅の池である。1880年代に入りモネの絵が徐々に人気を得るようになると、作品の価値も一緒に上がっていき、絵を高値で売れるようになったことで、モネの暮らしも貧しかった時代から脱して一段と豊かになった。彼は住んでいたジヴェルニーの家をそのまま買い取り、庭にさまざまな植物を植えて、その姿をキャンバスに収め始めた。モネにとってこの庭は一種の実験室のような空間だった。
池に咲く睡蓮と柳、その上に映る光まで、四季を通じて変化していく様子をモネは余すところなく画布に写し取った。今見ているこの作品も、モネの自宅の池とその上に架かる橋を描いている。興味深いのは、この池と橋の形がフランス式ではなく日本式だという点だ。当時パリでは日本風が大流行しており、モネもまた日本を訪れたことはなかったが、その魅力に深く惹かれていた。そのため日本風の絵も何点か描き、家の中の品々から池に至るまで、すべて日本式にしつらえた。今でもジヴェルニーを訪れれば、当時モネが暮らした家を見学できるが、絵の中の姿とそっくりな風景に出会える。
この作品も素晴らしいが、本当の意味でモネの睡蓮を鑑賞するにはオランジュリー美術館を訪れる必要がある。そこは部屋全体を睡蓮の絵で埋め尽くした空間で、モネの睡蓮を最も完全な形で出会える場所だ。ここでは睡蓮の味見程度を感じていただき、時間があればオランジュリー美術館への訪問もあわせておすすめする。

