パリ · 絵画
同じ場所から三十回、モネ『ルーアン大聖堂』連作
オルセー美術館 · パリ, フランス
パリから北西に電車で1時間半ほど行くと着く町、ルーアン。そこにある大聖堂をモネは連作として残した。ゴシック様式のこの聖堂は細く鋭く伸びた尖塔が特徴で、最も高い尖塔は151メートルに達し、フランスで最も高い聖堂に数えられる。
モネがこの聖堂を題材に選んだ理由は単純だ。自分が暮らすジヴェルニーに近い町だったからである。近所にこれほど見事な大聖堂があれば、画家として挑戦してみたくなるのは当然であり、実際モネ以外にも多くの画家がルーアンを訪れて絵を描いた。当時経済的に余裕のあったモネは、聖堂のすぐ前にある建物の2階を借りてアトリエを構え、そこで30点を超えるルーアン大聖堂の絵を完成させた。そのためこれらの作品は連作と呼ばれ、そのうち4点をオルセー美術館が所蔵している。
この4点をよく見ると、構図がほぼ同一であることがわかる。モネが描いた他の連作では通常、絵ごとに描かれた位置が少しずつ異なり構図もそれぞれ違っていたが、ルーアン大聖堂に関してはアトリエから位置を固定したまま描き続けたため構図が一貫している。しかも室内での制作だったため、雪が降ろうと雨が降ろうと関係なく描くことができ、その結果4作品の中で晴れた日と曇った日の光がはっきりと異なって捉えられている。
ルーアンはローマ時代から続く2千年を超える歴史を持つ町で、古い建築物が放つ魅力とともに、さまざまな物語を宿している。イギリスとフランスの長きにわたる領土戦争の中心地であり、ジャンヌ・ダルクが火刑に処された場所でもある。パリのサン=ラザール駅から電車で1時間半、ルーアン駅からジヴェルニーまでさらに電車で40分ほどで行けるため、日帰り旅程としても十分訪れる価値のある場所である。

