パリ · 絵画
ヨーロッパにはいない猛獣、ドラクロワ『虎狩り』
オルセー美術館 · パリ, フランス
ドラクロワの『虎狩り』は構図からして非常に躍動的だ。画面中央下では虎が跳び上がって攻撃を仕掛け、その上では狩人が体を後ろに反らせて槍を振るう構えを見せている。馬さえもバランスを崩す寸前の不安定な姿勢で描かれ、三つの方向からの力が一点でぶつかり合うような緊張感を生み出している。
全体的に暗めの色調の中で、虎の毛並み、狩人の赤い衣服、白っぽい馬が中心に配置され、強いコントラストを成している。爆発的で激情的な瞬間を、はっきりとした輪郭ではなくぼかした筆致で表現している点が印象的で、正確な描写よりも感覚とエネルギーを優先するこうしたやり方こそ、ロマン主義絵画の核心といえる。
ところで実のところ、ヨーロッパにはライオンも虎も生息していない。ではドラクロワはなぜこのような狩猟の場面を描いたのだろうか。その答えは1832年にさかのぼる。彼は外交使節団に同行してモロッコ、アルジェリア、スペイン南部を旅し、ヨーロッパとはまったく異なる強烈な日差しや原色の衣装、実際の狩猟の場面を目にした。この経験は彼の作品世界を根本から変えることになる。この絵もまた単なる想像の産物ではなく、彼が北アフリカで受けた強烈な印象をキャンバスに写し取った結果だといえる。
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