パリ · 絵画
入浴直後をのぞき見る、シャセリオー『テピダリウム』
オルセー美術館 · パリ, フランス
シャセリオーの『テピダリウム』は、ローマ式浴場で温かくぬるい部屋を意味する「テピダリウム」の空間を描いた作品だ。入浴を終えた女性たちが体を乾かしながらしばしの休息をとる場面を描いており、まるでその瞬間をこっそりのぞき見ているかのような構図が印象的である。
絵の中の女性たちはそれぞれ異なる姿勢を取っている。語り合う者、髪を乾かす者、鏡をのぞき込む者まで、入浴直後のけだるく温かな一瞬が生き生きと描かれている。
シャセリオーは師アングルから学んだ精緻な線の処理と、ロマン主義特有の感性豊かな雰囲気を融合させた。この作品が描かれた19世紀ヨーロッパは、古代ローマ・ギリシャの理想化された世界が広く人気を集めていた時代だった。ポンペイ発掘以降、古代人の暮らしへの想像力が大きく膨らんでいた時期であり、シャセリオーはその想像力を最も優雅な形で表現した。この作品はシャセリオーの女性裸体画の中でも代表作の一つに数えられている。
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