パリ · 絵画
記憶だけで描いた体、セザンヌ『水浴する人々』
オルセー美術館 · パリ, フランス
セザンヌが実に200点を超える作品を残すほど好んで取り組んだ主題が、まさにこの『水浴する人々』である。絵の舞台はセザンヌの故郷エクス=アン=プロヴァンス。自然が清らかだったその地では、人々が川辺で水浴びをする光景がよく見られた。
セザンヌは幼い頃から内気で、人に話しかけることさえ苦手だった。そのためこの絵を描く際にも、実際に水浴びをする人々を直接観察して描いたのではなく、ヌードのスケッチや美術館で見たヌード彫像の記憶に頼って描き上げた。独特な制作方法だが、セザンヌにとって絵画とは単に目に見えるものを再現する作業ではなく、対象についての分析だったからこそ可能だったことだ。
それまでの絵画は神話や伝説を描いたり、宗教的な意味を伝えることが主な目的であり、その後、目に見えるものをできるだけ忠実に再現しようとする探求が続く中で、光によって変化する瞬間を捉える印象派が登場した。セザンヌはそこからさらに一歩進んで、事物の形そのものを分析する絵を描いた。そのため彼の絵には円柱や三角形といった幾何学的要素がたびたび登場し、この作品でも人体を表現する際にそうした手法が適用されている。
セザンヌに至って、絵画はもはや鑑賞の対象にとどまらず、理解の領域へと踏み込むことになった。これこそがセザンヌを現代美術の父と呼ぶ理由である。絵画という概念そのものを変えた最初の画家だったからだ。
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